1.浸水避難計画に壁 博多駅、天神の両地下街 駅ビル工事、施設多く難航,西日本新聞
RV=36.0 2007/07/03 17:07
キーワード:地下街,福岡,計画
2005年の水防法改正に伴い、福岡市が地域防災計画の「浸水想定区域」に指定した博多駅地区と天神地区の両地下街が「避難確保計画」の策定に苦労している。梅雨の真っただ中で台風の季節も迫るが、建設が進む新駅ビルや、地下街とつながる大型施設との意見集約が壁となっている。計画は地区全体を対象としているが、両地下街はまず、地下街のみの計画を作り上げる方針だ。
水防法は、地下街で死者1人を出した1999年の福岡豪雨災害や、死者・行方不明者10人を出した2000年の東海豪雨を教訓に、地域の水害防止力を高めようと05年に改正された。各都道府県と同様、福岡県は浸水想定区域図を作り、御笠川、多々良川、那珂川の三河川を浸水想定区域に指定している。
改正法は浸水想定区域内の地下施設に「避難確保計画」の作成を義務付けた。三河川が流れる福岡市は、昨夏にまとめた地域防災計画で、博多駅と天神両地区の地下街の避難確保計画作りを打ち出した。
博多駅地下街(131店舗)の防災事務局を務める博多ステーションビルによると、地下街単独の避難確保計画は8月ごろに完成する予定。しかしJRや市交通局(地下鉄)、ホテルなど地下街とつながる計10事業者による地区全体の計画づくりは難航している。特に新駅ビルは工事が進行中で避難経路など防災態勢がどうなるかが見えないため「全体計画に反映しづらい」という。博多ステーションビルは浸水時の避難先として、駅コンコースや交通センター上階を活用する全体計画を今後、まとめていく。
一方、天神地下街には百貨店や大型駐車場、電器店など計33事業者がつながっている。地下街を管理運営する福岡地下街開発(153店舗)は「地下街単独の計画は既に6割ぐらい完成したが、それだけでも作業は大変。まして経営業態や客層などがまったく違う事業所の計画を全体でまとめるのは非常に難しい」と話す。
国土交通省によると、昨年末時点で全国253の地下施設が避難確保計画を作成する予定だが、完成は53施設にとどまる。九州では22施設すべてが未完成。福岡地下街開発は全国で計画作りが遅れていることについて「専門家しか分からない地下への水の流入量の分析が計画に必要なのも影響している」と指摘した。
=2007/07/03付西日本新聞夕刊=
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