2.京都・舞鶴のバス水没:屋根で一夜、題材 流山の白木さん、創作童話出版 /千葉
,毎日新聞
RV=30.7 2007/07/18 11:02
キーワード:京都,年金
◇「生きる勇気が出た」…高齢者ら手紙70通
流山市西初石の児童文学作家、白木惠委子(えいこ)さん(73)が、京都府舞鶴市で04年10月、台風23号の被害で観光バスが水没、乗客ら37人がバスの屋根で一夜を明かした出来事を題材にした創作童話「バスの屋根の上で」を出版した。白木さんは、乗客らから当時の話を聞き、昨年5月から約1年かけて執筆した。「命はひとつ。どんな時でも、あきらめず、希望を捨てずに生き抜く力を持ってほしい。そう伝えたくて書いた」と話している。【長谷川力】
バスには運転手と兵庫県市町村職員年金者連盟豊岡支部の36人(平均年齢68歳)が乗っていた。一泊旅行の帰途、豪雨で国道脇の川があふれ、車内に水が流れ込んだ。乗客と運転手は、とっさの判断で屋根に上がり、寒さをしのぐために肩を組み、歌を歌ったりして、励ましあった。流れてきた竹の棒と街路樹のユリノキを運動靴のヒモでつなぎ、バスが流されるのを防いだ。乗客らは翌朝、ヘリコプターなどで全員、無事に救助された。
白木さんはこの出来事に感動。昨年1月、兵庫県豊岡市を訪ね、乗客の元看護師の女性4人から体験談を取材し、同5月には現場に行き、37人を救ったユリノキを見た。「周りの木より細いのに、折れずによく頑張ったな」と思ったという。
発刊から1カ月。読んだ人から約70通の手紙が届いた。「よく生き抜いた。人生経験が生きたのだろう」「自分も頑張ろうと、生きる勇気が出た」。ほとんどが高齢者からだという。
白木さんは「子供向けに書いたのに、意外な反響に驚いている。同世代としての共感もあるのでしょうが、命の大切さは普遍、ということなのでしょう」と話した。
けやき書房(電話0424・84・3310)刊、1400円(税別)。
7月18日朝刊
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