1.07参院選おおいた:中盤の情勢 毎日新聞総合調査から(その1) /大分,毎日新聞
RV=186.4 2007/07/22 15:01
キーワード:候補,陣営,選挙,支持,新人,年金,訴える,自民,民主
◇礒崎氏、乱立に乗じ先行−−追う矢野、松本、後藤、山下氏
5候補者が立つ参院選大分選挙区(改選数1)は、実質的に自民、民主、共産の戦いの構図だった3年前と一変し、与野党ともに分裂含みの複雑な選挙戦となっている。毎日新聞社は19〜21日の3日間、電話による特別世論調査を実施。この結果に支局取材を加え、中盤情勢を分析した。
今選挙は、年金問題が最大の争点で、各候補者も訴えの多くをこの問題に充てる。「1年以内に全記録を統合する」とした安倍晋三首相への評価も、与党の過半数維持の可否とも絡み、投票の材料となりそう。自民新人の礒崎陽輔氏は、野党乱立に乗じてまんべんなく支持を広げ、一歩先行。民主県連が支援する無所属新人の矢野大和氏、社民推薦の同、松本文六氏、国民新党現職の後藤博子氏が続き、共産新人の山下魁氏は党勢拡大に懸命だ。調査の回答者のうち、2割強が態度を決めておらず、29日の投開票日までに情勢が変化する可能性もある。
◇自民の7割固める−−礒崎氏
自民新人の礒崎氏は、県北で優位に立つが、陣営が当落のカギを握るとみる大分市では矢野氏との差はわずか。「景気高揚、経済活性化には政治の安定が不可欠」との訴えがどこまで浸透するか終盤の戦いが注目される。
年代別では、70代以上と40代で支持が多い。若い世代は松本氏の、壮年世代は矢野氏の後を追いかけている。
支持政党別では、自民の7割弱、選挙協力している公明の半数を固める。これは3年前の自民候補よりそれぞれ20ポイント程度高い。民主の1割も抑えるが、陣営に楽観の色はない。後援会カードの回収率も芳しくないといい、まずは自民の組織引き締めに全力を挙げる。【梅山崇】
◇大分市で競り合う−−矢野氏
民主県連支援の無所属新人、矢野氏。公示後は党派色を鮮明に打ち出す戦略を取り、4割を割り込む民主支持層への浸透を図る。自民支持層の一部からも支持を得るが「保守層も取り込む」との狙い戦略は今のところうまく機能していない。
年代別では50〜60代で2割前後の支持を受け、40代も礒崎氏に迫っている。地域別では大票田・大分市で礒崎氏と競り合う一方、他地域でやや出遅れている。安倍政権の政策・実績を「評価しない」とした人の支持は、矢野、松本両氏が多く、後藤氏が続く。身内ともいえる民主支持層と、陣営がもくろむ保守層への食い込みが課題だ。【小畑英介】
◇無党派からも支持−−松本氏
社民推薦の無所属新人、松本氏は医師の経験を生かして医療制度改革などを訴え、追い上げを図る。無党派層(支持政党はなし)の4割が「まだだれに投票するか決めていない」と回答しているが、それに次ぐ2割弱が松本氏を支持。民主支持層の約2割からも支持を得ており、連合大分の推薦に加え「党公認」とせず政党色を薄めたことに一定の効果がうかがえる。一方、政党別で社民支持層からは6割程度を固めているが、さらなる組織への浸透と共に幅広い支持を得られるかがカギとなりそうだ。【大島祥平】
◇民主、社民取り込む−−後藤氏
国民新党現職の後藤氏は、郵政民営化法案反対など1期目の経験を前面に押し出して、保守層と女性層を取り込む。「与党を過半数割れに追い込む」と、元々自民支持層を奪う戦略だったが、予想に反して民主と社民支持層の2割弱、無党派層の1割強の支持を得ている。自民支持層は一部にとどまっており、野党分裂の“台風の目”になっている。女性では20代が他候補に比べ支持率が高く、50〜70代では支持の広がりが少ない。【金秀蓮】
◇若年層で伸び悩み−−山下氏
共産新人の山下氏は格差社会是正や憲法9条を争点に浮揚を目指すが、選挙区を起爆剤に比例代表で支持拡大する狙いは奏功していない。比例で共産に入れると答えた人の6割の支持を集めるが、共産支持層を見ると、5割の浸透。狙いの若い世代にも支持を広げられていない。05年衆院選大分2区で1万5000票近くを集めた力で、批判の受け皿として存在感を示したい。【梅山崇】
………………………………………………………………………………………………………
◇選挙区立候補者(改選数1―5、届け出順)
後藤博子(ごとう・ひろこ) 59 国現(1)
党副幹事長・女性局長[歴]在ブラジル日本語学校教師▽県中小企業家同友会常任理事・女性部長▽電気工事会社専務▽自民党女性局次長・男女共同参画推進協議会幹事▽文教科学委理事▽別府大短大
松本文六(まつもと・ぶんろく) 64 無新
医師▽医療法人理事長▽県病院協会理事▽日本病院会地域医療委員会委員[歴]地域医療研究会世話人▽労働者住民医療機関連絡会議副議長▽県老人保健施設協会長▽病院長▽介護老人保健施設長▽九大=[社]
礒崎陽輔(いそざき・ようすけ) 49 自新
[元]総務省官房参事官▽党県参院第1支部長[歴]自治大教授▽堺市財政局長▽消防庁企画官▽内閣官房内閣参事官(安全保障・有事法制)▽総務省国際室長▽救急振興財団審議役▽救急救命研修団体役員▽東大=[公]
山下魁(やました・かい) 30 共新
党県委員・県青年学生対策委員▽日本民主青年同盟県委員長▽選挙の自由をひろげ大石さんを守る会世話人▽国民救援会県本部常任理事[歴]ガソリンスタンド店員▽党県准委員▽NHK学園高
矢野大和(やの・たいわ) 51 無新
[元]佐伯市観光大使▽神職[歴]旧宇目町企画室・社会教育課・税務保険課・企画開発課・観光物産施設うめりあ店長・企画商工課・観光大使▽県南落語組合事務局長▽佐伯市秘書広聴課係長・観光広報係長▽国学院大
【名鑑の見方】氏名、年齢(投票日の7月29日現在)▽党派▽現元新▽当選回数▽肩書▽[歴]以下は主な経歴▽最終学歴、=政党の推薦支持
………………………………………………………………………………………………………
◇調査方法
県内各地域の有権者数を考慮し、コンピューターで無作為に選んだ電話番号にかけるRDS法で19〜21日の3日間実施。800人を目標とし、847人から回答を得た。
7月22日朝刊
|