3.自宅損壊 重い復旧費負担 2世帯公的支援の対象外 村田
,河北新報
RV=43.0 2007/07/31 06:13
キーワード:年金,訴える,支援
宮城県村田町沼辺地区の2世帯が、台風4号の大雨で発生した裏山の土砂崩れで住宅の一部が損壊し、30日まで2週間の避難生活を強いられた。「裏山は民有地」「土砂崩れが小規模」といった理由から、復旧工事は県や町の公的な財政支援を得られず、数百万円の費用は全額、自己負担となる。「財政難で貴重な税金を2軒のために使うのは不公平という考え方は分かるが、何とかならないものか」。被災世帯は行政の支援網からこぼれる状況を嘆いている。
被害に遭ったのは、高橋久二男さん(70)と隣の佐山幸男さん(67)方。台風4号で強い雨が降り続けていた15日午後4時すぎ、裏山が高さ約12メートル、幅約4.5メートルにわたって崩れ、高橋さんのプレハブ倉庫と車庫、佐山さんの住宅1棟がほぼ全壊した。2世帯は町内の親類宅に自主的に避難し、30日に自宅に戻った。
崩れた場所が公有地であれば行政が復旧工事に当たるが、今回は高橋さん所有の土地。高橋さんらは町と相談して18日、民有地でも財政支援が得られる「急傾斜地崩落危険区域」の指定を求め、地元集落10棟の同意を添えた要望書を県大河原土木事務所に提出した。
ところが、同事務所の判断は不採択。「保全対象人家が5棟」との適用要件に対し、事務所が対象人家と認定したのは4棟で、1棟足りなかった。町建設課は「ほかにも支援策がないか検討したが、条件に合う補助メニューはなかなかない。現段階では工事の技術的な指導程度しかできない」と説明する。
大雨が降ればさらに崩れる懸念もあり、高橋さんらは結局、崩れた土砂を撤去して再発を防ぐ工事を自力で業者に依頼し、27日に着工した。費用は約600万円。建物の復旧工事の費用は別に掛かるという。
「低利の融資制度さえない」と訴える高橋さんは「一刻も早く普通の生活に戻りたいが、年金暮らしで負担は重い」。佐山さんは「今回のケースはどこでも起こり得る。住民の負担を少なくできる制度を検討してほしい」と話している。
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