平成19年の風水害 今回の注目記事 2007/08/12 00:00〜2007/08/13 00:00

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2.豪雨 104世帯避難指示/那覇、1日433ミリ記録 ,琉球タイム
RV=42.2 2007/08/12 12:00
キーワード:寺,熱帯,延期,事業

沖縄地方は十日から十一日にかけて、気圧の谷の影響で雷を伴う記録的な豪雨が続いた。十一日午後十時四十分までの二十四時間雨量は那覇市で四三三ミリとなり、同市の八月最高を記録した。県内各地では、土砂崩れや道路冠水など被害が続出している。県内二十世帯五十六人が公民館や学校などに一時避難。那覇市は百四世帯に避難指示、十二世帯に避難勧告を出した。けが人などはいない。気圧の谷の影響で十二日朝まで大雨が続き、十三日ごろまではぐずついた天気が見込まれる。 積乱雲発達 突風も観測  県警のまとめによると、床上・床下浸水は三十七件、土砂崩れは十二件発生している。  那覇市牧志のモノレール牧志駅付近で車十数台が水没するなど、道路冠水のため各地で車が立ち往生した。  県内各地では、積乱雲の発達に伴う突風が吹いた。那覇市では十一日午前五時四十四分に、最大瞬間風速二六・九メートルを記録。名護市でも同日午前六時八分に、同二六・七メートルの強い風を観測した。  強い風雨のため那覇空港自動車道全線と沖縄自動車道の那覇―石川間が雨のため通行止め。石川―許田間は時速五〇キロの速度規制が行われている。  空の便も離島便を中心に三十九便の欠航が出た。  沖縄気象台は十一日午前八時、沖縄本島地方に大雨洪水警報を発令。十二日午前零時現在、那覇市、浦添市、南城市、西原町、中城村など二十七市町村が土砂災害の警戒対象となった。      ◇     ◇     ◇      噴き出す水 生活マヒ/車10台余 のみ込む  「台風でもないのに、こんなに降るなんて…」「水がこんなに、あふれるのは初めて」。十日から降り続く大雨と突風に、被害に遭った人たちは驚きや戸惑いを見せた。増水した川の水が住宅地に流れ込んだ所や、冠水した道路で立ち往生した車に一時閉じ込められた人もあった。崩れてきた土砂が車庫や車を押しつぶし、民家に迫り、道路を寸断。空や海の便も一部で影響が出た。降りやまない雨に不安を募らせ避難している人たちも出ている。 那覇  那覇市の安里交差点から崇元寺にかけての那覇北中城線では午前十一時ごろ、安里川のはんらんで、ひざまで水に漬かる道路冠水。一時全面通行止めになった。タクシーと乗用車計二台が立ち往生し、消防隊員や警察官、一般市民らが力を合わせて車を押す姿も。  モップで飲食店の床をふいていた宮国泰春さん(87)は「この辺りは水はけがよくないが、ここまで冠水するのは珍しい」と驚いたように話した。  国際通りの蔡温橋周辺も午前十時すぎごろから冠水、住宅や店舗にも浸水が相次いだ。  国際通りで土産物屋を営む女性(66)は「三十五年ここで店をやっているが、こんなに急に水が上がってきたのは、初めて。台風でもないに」と話した。道向かいの建物の間から水が噴き出すように流れ出すのを見て、急いでシャッターを閉めたが、すき間から店内に水が流れ込み、ひざ下まで水に漬かったという。泥と水を掃き出しながら「きょうは仕事にならない」と言った。  午前十時前、安里の国際通り沿いの美容室に車で出勤しようとした仲宗根千笑実さん(49)は、安里川の水が急激に増したので、危険を感じ川沿いの駐車場に車を止めず、いったん自宅に引き返した。戻ったときには、車十台余りが屋根まで水に漬かっていたという。  那覇市長田の上間小学校体育館には十一日夜、土砂崩れを警戒して七世帯十三人が避難。市の担当者が水や毛布を配布した。避難者の多くはお年寄りで、不安そうな様子で待機した。家族三人で避難してきた男性(70)は「あとどれだけ降るのか。早く帰りたい」と疲れた表情で話した。 南部 施設浸水 職員弱り顔  【南部】南城市玉城百名では十一日午後五時すぎ、市道が広範囲にわたって水位約一メートルまで冠水。市道に面したデイサービス事業所が床上浸水した。平屋施設の床全体が水浸しになり、職員と地域住民がモップやほうきを使って水をかき出す作業に追われた。女性職員(36)は「これまでも浸水はあったが、今回が一番ひどい」と顔をしかめた。利用者は帰宅した後だったという。  現場では、島尻消防本部の消防ポンプ車延べ三台が出動。排水作業に当たった。  幹線道路での土砂崩れも続発。南城市では県道137号(通称・新里坂)の斜面が崩れ、全面通行止めに。県道86号の大城ダム付近でも二カ所で土砂が崩れ、片側一車線をふさいだ。南風原町喜屋武の県道241号も交通規制された。  豊見城市では午後七時すぎ、民家のテレビアンテナに落雷。配線から火が出たが、消防車が出動し鎮火した。  糸満市の高嶺中学校付近と豊見城市、南城市の民家近くでも斜面の土砂が崩れた。 北部 国道冠水 水位1メートル  【北部】名護市屋部では屋部川から濁った水が、道路や住宅地を覆った。十一日午後零時すぎには、本部町の海洋博記念公園などに通じる国道449号が冠水。ピーク時には水位が一メートル近くに達し、乗用車内に閉じ込められた子どもを含む四人を同市消防本部が救助するなど、警戒が続いた。  車が冠水した名護市内に住む六十代の男性は「いきなり橋の方から川の水があふれ出し避けることができなかった。冠水は時々あるが、こんなにひどいのは初めてだ」と話した。屋部区を中心に確認されただけで二十軒以上が床上浸水した。  本部町辺名地では川が増水、県道244号や周辺住宅地に濁流があふれ、橋が冠水するなどしたため、一世帯二人が近くの知人宅に自主避難。近くに住む渡口忠清さん(61)は「こんなに水があふれているのは見たことない」と不安げに話した。並里でも一世帯一人、伊野波でも一世帯二人が自主避難した。 中部 2トンタンク車も横転  【中部】中城村津覇の国道329号に面する西山長徳さん(69)宅では、十一日午前十一時二十分ごろ、自宅裏手の山が幅二十メートル、高さ三メートルにわたって土砂崩れした。車庫の屋根を押しつぶしたほか、二階の手すりが約三十センチずれる被害が出た。西山さん一家四人は、宜野湾市の長女宅に自主避難した。  「パキ、パキ、パキ」  山と接する車庫のブロック塀に、音を立ててひびが入っていく。車庫にある二台の車を移動させようとする直前、土砂が屋根を押しつぶした。  長徳さんからの連絡で、車両を移動させるため自宅に戻ったという二男(34)は「山が崩れるとは考えたこともなかった」と驚く。  長徳さんは「山では滝のように雨が流れていた。これほどの量は初めて」と言葉少なに、朝から続く異常事態を振り返った。  西山さん宅の南隣に住む呉屋哲夫さん(70)、節子さん(68)は一時避難したが、約二時間後、自宅に戻ってきた。「今後、崩れる危険がないのなら自宅に居たいが…」と、不安そうに話した。  嘉手納町兼久の国道58号では午前十一時半ごろから約一時間冠水し、南北約五キロ以上の渋滞。中城村新垣の沖縄自動車道に隣接する側道で、横幅約三メートルにわたって土砂崩れが起きた。  浦添市西原三丁目の国道330号では午後一時二十分ごろ、北向けに走行していた二トンタンクローリーがぬれた路面でスリップし、中央分離帯を乗り越えて、対向車線上で横転した。  タンクローリーは半回転し、屋根部分が地面に接触した状態で停止。フロントガラスが路面に飛び散るなどしたが、タンクに積まれた軽油と重油の漏れはなかった。男性運転手(49)にもけがはなかった。 風ぶつかり積乱雲発達  十日から十一日にかけて沖縄地方で降り続いた激しい雨は、気圧の谷の影響によるもので、沖縄気象台によると、十一日現在、沖縄地方には太平洋高気圧のへりに沿って南東へ風(上図の緑色)が吹き込み、南シナ海から北東へ風(同青色)が吹き込んだ。一方、沖縄地方の北西に中心を持つ熱帯低気圧の等圧線に沿うように、南西へ風(同橙色)が吹き込んでいる。  沖縄気象台は「二つの風(橙色と青色)が沖縄本島付近でぶつかり、上昇気流が発生。積乱雲が発達したのではないか」と分析した。積乱雲に上昇気流として吹き込む風の影響で、強風が各地で吹き荒れた、という。  気象台は、八―九日にかけて八重山地方に接近し、熱帯低気圧に変わった台風7号の影響を指摘。「南シナ海に湿った空気があって積乱雲の発達に影響した可能性がある」と説明した。  この影響で、那覇の二十四時間雨量が十一日午後十時四十分までに四三三ミリに達し、南城市玉城糸数では同日午後七時半までに同地域の観測史上最高となる三二三ミリを記録した。  二十四時間雨量は十一日午後十一時二十分までに、沖縄市胡屋で二八四ミリ、名護市では二六二ミリ。同日午前十時四十分までの一時間雨量は那覇市で八五ミリに達した。 空・海の便 欠航相次ぐ  十一日の那覇空港発着の航空各便は、沖縄本島と離島を結ぶ路線を中心に欠航や遅延が相次いだ。  航空各社のホームページなどによると、午後十時半現在で琉球エアコミューターの与論と那覇を結ぶ全八便やエアーニッポンの宮古―那覇間の四便など計三十九便が欠航した。このほか、エアーニッポンの石垣発那覇行きと、成田発那覇行きの便が、それぞれ行き先を鹿児島に変更した。  海の便も沖縄本島と伊江島、伊平屋など離島を結ぶ路線が終日欠航した。 イベントは各地で延期  十一、十二の両日予定されていた「第二十五回与那原まつり」が十八、十九日に延期。十二日の与那原大綱曳も十九日に延期となった。十一、十二日の「糸満ふるさと祭り」は中止となった。  十一、十二の両日開かれる予定だった「第三十回宜野湾はごろも祭り」(主催・同実行委員会)は十八、十九の両日に延期になった。


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