1.県、工事関連公表せず 安里川はんらん
,琉球新報
RV=46.8 2007/08/16 09:39
キーワード:安里,温い,工事
11日の豪雨による那覇市の安里川のはんらんで、蔡温橋の改修工事を実施している県南部土木事務所が、4月に同地で起きていた浸水被害で、工事と被害拡大との関連を指摘する調査結果の報告を7月9日に受けていたことが15日、分かった。同事務所が今回の浸水被害への対応を説明した記者会見の場で明らかになった。同事務所はこれまで調査結果を公表せず、調査結果に基づく再発防止の措置も実施していなかった。
県南部土木事務所の伊波興静所長は「調査地点が1カ所しかなく不十分な検証であり、必ずしも結果が正しいとは思っていない」と主張。「今回、大規模な原因調査を実施するので、その結果と4月の調査結果とを合わせて検討するつもりだ」と述べた。
4月15日にも蔡温橋付近で冠水し、床上浸水などの被害が出ていた。同事務所は原因究明の調査を民間会社に委託し、7月9日に調査結果を受け取っていた。
調査は蔡温橋の上流側の1地点で冠水の痕跡を採取し、当時の水量などから工事が行われていなかった場合と、工事による増水の可能性について推計した。工事を実施する前なら水位は3・109メートルとの推計だったが、工事に伴うH鋼の設置で水位は3・446メートルに上昇すると推計。さらにH鋼への付着物を考えると水位は3・750メートルになると推計した。
調査結果は冠水の原因について「架設工事を実施していなくても浸水被害は生じていた」と考察した上で、「H鋼にビニールシートや草木などの付着の影響により河積阻害となり、さらに被害の拡大が生じた」と指摘した。
南部土木事務所はこの調査結果を受け、上流側にパイプを複数本立てて漂流物を取り除くという対応策を検討したが、「効果はない」と判断して実施はしなかった。
伊波所長は11日の蔡温橋を境にした安里川の水位差について、上流側の方が下流側より1・6メートル高かったことを明らかにした。改修工事の進展で、橋の下流側の通水面積が既に大きく改良されていることを説明し「水位差が出るのは当然。工事の影響でどれくらい水位差が増したのかははっきりしない」と述べた。
また今回の浸水被害と工事との因果関係を調べる原因調査で、既に現地調査を業者に発注し、結果がまとまるまで1―2カ月かかるとの見通しを示した。
<工事概要>
老朽化した蔡温橋を撤去して新たに架け替え、安里川の川幅と国際通りの幅員を広げる工事。05年9月に始まり、08年度中の完成を予定している。川幅は8・1メートルから12・0メートルに、通水断面は18・62平方メートルから45・56メートルに拡大する。付近住民は工事が川の流れをふさぎ、浸水被害の原因になっていると指摘。南部土木事務所は14日に橋下に設置していた鉄骨8本を撤去した。
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