3.台風で倒木相次いだ軽井沢 特区の再申請を検討
,信濃毎日新聞
RV=65.0 2007/09/12 09:00
キーワード:軽井沢,佐久
台風9号による北佐久郡軽井沢町の停電は11日、5日ぶりに完全復旧した。1982(昭和57)年以来という風害は、地形的に遮断の役割を果たす物体が少ない東から暴風が吹き込んだことや、軽井沢ならではの樹木を残した景観があだとなって、数多くの倒木を招き、停電を引き起こした上に復旧を妨げた。町は、以前に不採択となった「樹木の適正管理特区」を国に再提案する検討を始めた。
軽井沢測候所によると、軽井沢町は、北に浅間山、南に八風山や平尾山などがあり、台風が県内を通過しても暴風を直接受けない場合が多い。しかし台風9号は真南から接近したために、東からの暴風がもろに入り、最大瞬間風速27・7メートルを記録。同町では64年からの統計で2番目の強さとなった。
別荘地などに樹木が茂り豊かな緑に囲まれる同町だが、もともとは火山灰土壌。一般に根が浅く、成長した高い木々が各地でなぎ倒され、電線を断ち、電柱を破損した。
町では、別荘地などに通す電線架設をめぐり、樹木を残したいという住民や別荘所有者の意向で枝の下に通さざるを得ない世帯も多い。復旧に当たった中部電力佐久営業所の熊井正彦所長は「倒木の範囲や数がこれまでの台風と全然違った。電線復旧より、倒木の処理に時間がかかった」と説明。「倒木に耐える電線の補強は不可能。ある程度切らせてもらうしか対策はない」と話した。
町が2005年、2度にわたり提案した特区は、管理不足で枝が伸び放題になっている樹木を、町や電力会社などが安全上必要と判断した場合に、所有者の許可を得ずに伐採できる権限。国は「個人の財産権を侵害する」との理由で不採択としたが、佐藤雅義町長は「認められていれば、停電被害を軽減できたはず」と悔やむ。
今回の被害を受け、町長は、特区の再提案を検討。11日、視察に訪れた村井知事に協力を求め、知事も採択に向け協力する考えを示した。
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