平成19年の風水害 今回の注目記事 2007/09/26 00:00〜2007/09/27 00:00

Yahoo!ニューストピックス: 「平成19年の風水害」
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1.豪雨:被災地の北秋田・阿仁前田、復旧遠く…募る疲労 商店街は壊滅状態 /秋田 ,毎日新聞
RV=109.3 2007/09/26 12:02
キーワード:秋田,北秋田,温泉

県北部を中心に続いた豪雨で大きな被害に見舞われた北秋田市阿仁前田地区を23、24両日歩き、取材した。豪雨から1週間が過ぎても、住民にボランティアが加わって浸水した店や家屋の1階部分や道路の清掃作業が続く。人々は復旧に向けて懸命だが、中心部の商店街の店主らは「営業再開のめどは立たない」と肩を落とす。長年続けてきた店を閉める決意をした人もいる。被災者の疲労はピークに達し、心身両面でのケアが課題となっている。【岡田悟】  秋田内陸縦貫鉄道の阿仁前田駅前に約50店舗が軒を連ねる「前田駅前商店街」。17日の豪雨による浸水は床上約1・5メートルに達し、ほぼすべての店の1階部分が洪水にのみ込まれた。直後は流木が店舗に突き刺さり、道路一面が汚泥に覆われたが、道路上の泥の多くは取り除かれ、住民らは店舗内の泥の除去や家具の清掃にあたっている。  「商店街は壊滅状態だ」。総合衣料品店を営む佐藤金正さん(68)は、1階店舗の服など商品の多くを流され、残った商品も泥に汚れて売り物にならなくなった。1階店舗の奥の居住部にも水が押し寄せ、水と泥にまみれた床板はすべて張り替えるつもりだという。22日までに店内の泥を排出し、消毒も終えたが、「新たな仕入れのため資金を借り入れる余裕はない。痛手があまりに大きい」と顔を曇らせた。  美容室を営む三浦靖さん(75)はパーマ液やタオル、ハサミなど商売道具の多くを洪水で流された。店の窓が水の勢いで割れ、流れ出したという。残ったハサミもさび、椅子は水を含んで使いものにならない。孫や親せきに加え、近くの常連客が「早く再開してくれないと私たちも困る」と、店内の汚泥除去や家具の清掃などの作業を手伝ってくれ、「いろんな人に助けられ本当にうれしい」と笑顔で話すが、ボイラーが動かせず、店内の水洗トイレもまだ使えない状態。再開の時期は未定だという。  食堂を営んでいた女性(74)は、1階の店舗部分が床上浸水したため、店を畳むことに決めた。水につかり続けた床を直すと250万円はかかると大工に言われ、「そんなお金はどこにもない」と肩を落とした。「これ(水害)さえなければ毎日忙しかったのにねえ」。大館市から片付け作業を手伝いに来た女性の長男(47)は、「睡眠不足や普段はしない力仕事で、お年寄りは特に疲労している」と話す。22日には、女性と父(78)を自宅に連れ帰り、丸1日休ませたという。  商店街の15の小売店で作る「前田駅前商店会」会長で牛乳販売店を営む加賀隆之さん(53)は「高齢で後継ぎがいない店主は、営業再開は難しいのではないか。片付けが一段落すれば、商店街全体の今後を考えないといけない」と話した。  ◇けが人、体調崩す住民も  この地区では、阿仁前田駅と一体化した温泉施設「クウィンス森吉」が、対策現地本部兼避難所・救護所となっており、自宅が平屋建てで使えなくなったなどの理由で、24日現在も約40人が寝泊まりしている。また、三度の食事もここで配給される。夕方には近くの温泉行きのバスが運行される。  被災者の中には、連日の自宅の片付け作業でけがをしたり、疲労から発熱などの症状を訴える人もいる。  北秋田市保健センター主幹で保健師の米沢敬子さんによると、20日ごろから、片付け作業で手や足をガラス片で切ったり、足の上に重い家具を落としけがをする人が相次いだ。ここ数日の間には発熱や頭痛を訴える人も出てきた。また、長時間長靴を履いたままの立ち仕事で足が圧迫され、つめの周囲が炎症を起こす人もいる。  公立米内沢総合病院の医師が連日、「クウィンス森吉」を訪れ、2時間ほど健康相談や投薬のアドバイスをしているが、同病院には外科医がいないため、23日には急きょ、同市鷹巣の北秋中央病院から同院長で外科医の神谷彰医師が駆け付け、けが人を診察した。  また同日、北秋田市と県の保健師計17人が阿仁前田地区と周辺の計約150戸を全戸訪問。その結果、年齢を問わず足腰の痛みを訴える人や、朝晩の冷え込みや疲労から風邪を引く人がいたという。また高齢の被災者は、訪れた保健師に「親せきの家に避難してはどうか」と勧められると「することがないし行きたくない」「病院に連れて行かれるのが嫌」などと拒否する場合が多かった。米沢さんは「子や孫に迷惑をかけたくないと我慢しているのだろう」と話す。  また米沢さんは、今後は将来の生活や経済的な問題への不安などから心のケアが重要になるとして、「避難所には保健師2人が常駐できるようにしたい。専門家の協力も必要だろう」と話した。  ◇3連休、全国から629人−−足りないボランティア  北秋田市社会福祉協議会が21日に設置したボランティアセンターによると、3連休の22〜24日、全国から延べ629人がボランティア登録し、同市内の被害が大きかった地区で、住宅の泥排出や家具の洗浄作業の手伝いにあたった。  大学生が登録してボランティア活動するNPO法人「国際ボランティア学生協会」(東京都、下村誠代表)のメンバー50人は23、24両日、同市で家屋の清掃や避難所の食事の配膳(はいぜん)作業を手伝った。  同市阿仁前田で民家の雨戸に付いた泥を落としていた法政大国際文化学部1年、岡崎雄真さん(19)は「片付け作業の最中に近くのおばあさんから差し入れの食べ物をいただき、被災者の笑顔に接することができた。やりがいを感じる」と笑顔で話した。  だが、一緒に作業をしていた下村代表は「3連休の割にはボランティアが少ない。自宅内や家具の清掃は重機が使えず、水害の支援は人手が多くいる。さらに募集してもいいのではないか」と指摘していた。  ◇白い車の女性、依然行方不明  北秋田市阿仁吉田町頭の大岱橋付近で17日午後6時25分ごろ、白いワンボックスカーに乗ったまま流されたとみられる同市阿仁小渕、無職、菊地幸子さん(57)は、1週間以上たった25日現在も行方がわからない。  北秋田署の調べでは、20日ごろには、橋の下を流れる阿仁川で白い車の後部バンパーが見つかったが、菊地さんの車のものかは確認されていない。25日も、署員らが阿仁川付近を捜索したが、見つからなかった。  菊地さんの家族によると、菊地さんは、親せきを病院に迎えに行くため17日午後5時ごろ、白いワンボックスカーに乗って自宅を出たという。


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