平成19年の風水害 今回の注目記事 2007/10/17 00:00〜2007/10/18 00:00

Yahoo!ニューストピックス: 「平成19年の風水害」
「平成19年の風水害」トップ
キーワード解析結果[PDF]

2.宮城・福島沖の貨物船座礁:撤去遅れに募る不安 冬季の作業難しく /福島 ,毎日新聞
RV=91.9 2007/10/17 14:00
キーワード:収穫,船主,油,船体,宮城

◇きょう半年、ホッキ漁控え地元は困惑  宮城、福島両県境沖で貨物船「JANE号」が座礁してから、17日で半年を迎える。油流出による漁業被害を招き、撤去作業は大幅にずれ込んだままで、船は現在も沖合に放置されている。撤去を担う米サルベージ会社は来月の作業再開を約束したが、海が荒れる冬季を控え、地元では「船体が放棄されるのでは」と不安も募っている。撤去や補償に向けた課題を探った。【豊田英夫、塚本弘毅、伊藤絵理子】  ◆座礁続く  JANE号(4643トン)はカリブ海の国セントビンセント・グレナディーン船籍の貨物船で、船主はロシアの「プーリコム」社。石炭5284トンを運び、サハリンから相馬港へ向かう途中の4月17日未明、宮城県山元町の磯浜漁港付近の浅瀬に乗り上げた。  同船は燃料の重油など油66トンを積み、座礁直後から油膜が海面に広がった。第2管区海上保安本部は5月、船主側に対し、改正海洋汚染防止法に基づき初の船体撤去命令を出した。来年5月10日まで撤去しない場合、最高1000万円の罰金を科すことができる。  現在、油流出は止まったが、同保安本部は隔日で航空機と船艇を出動させ、船体状況と油流出の監視を続けている。  ◆作業の遅れ  当初は7〜8月にも船は撤去される予定だったが、事前の積み荷抜き取りにも手間取った。米サルベージ会社「タイタン社」は9月10日、「台風シーズンに入り作業を安全に継続できない」と作業中断を通告。福島、宮城両県知事などは連名で同日、早期撤去の要請書を同社に提出した。  地元のいらだちは頂点に達している。相馬双葉漁協は「きれいな海岸に、目の上のたんこぶだ。12〜1月は低気圧で海上は荒れる。11月に来て撤去の準備調査をしても、本当の撤去はいつになるのか」と憤りを隠さない。宮城県漁業協同組合の山元支所も「12月上旬からは宮城県がブランド化を目指す『ホッキ貝』の収穫が始まるので心配」と訴えている。  同保安本部海上災害対策室は「必ず戻って来ると言うので信用するしかない。自然相手なので、状況をみて有効な手段をとってもらうほかない」と話し、同社に一任せざるを得ないのが現状だ。  ◆漁業被害  油の流出は、当時最盛期だったコウナゴ漁を直撃した。地元漁協は現在、弁護士と相談しながら被害額の算定を進めており、オイルフェンス設置費なども含め両県で数億円に上るとみられる。  日本の港に入る100トン以上の船舶は「船主責任保険」(P&I保険)への加入が義務づけられている。JANE号の保険代理会社「コスモミューチュアル・ジャパン」(東京都港区)によると、保険でカバーできるのは最大約1400万ドル(約16億円)で、漁業補償には船主責任制限額の最大3億数千万円が充てられる予定。同社は「現状では保険ですべてまかなえるが、撤去の経費が今後増えると、補償に回す保険金が減る可能性もある。船主側が追加負担できるかは分からない」とし、先行きは不透明だ。  ◆外交問題発展も  福島県は9月19日、外務省に対し、早期撤去と油の防除対策をロシア側に働きかけるよう要請した。同省欧州局ロシア課は「意向は在ロシア大使館を通じロシア政府に伝えた」としながらも、「ロシア側の反応は現段階でコメントできない」という。  国際海洋法に詳しい栗林忠男・慶応大名誉教授は「座礁船は海上の障害物で、船籍国には実質的な力がなく、当然船主が撤去すべきだ。船主が応じなければ、政府がロシア政府に対し、船主に撤去を指導するよう粘り強く要請するしかない」と語る。撤去がさらに遅れれば、外交上の圧力を求める声が高まりそう。  日本海沿岸に油濁被害を招いた97年のロシア船籍タンカー「ナホトカ号」油流出事故では、国や地方自治体、漁業関係者や観光業者などが、油濁損害賠償保障法(現・船舶油濁損害賠償保障法)に基づき、船主や保険会社を相手に提訴。随時和解が成立し、総額約261億円が支払われた。 10月17日朝刊


http://www.drs.dpri.kyoto-u.ac.jp