平成19年の風水害 今回の注目記事 2007/11/05 00:00〜2007/11/06 00:00

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2.熊楠守った「森」衰弱 11月中に文化庁が調査(和歌山)(紀伊民報),紀伊民報
RV=42.7 2007/11/05 16:58
キーワード:文化財,ラ,保存

 田辺湾に浮かぶ国指定天然記念物の「神島」で、ここ数年、木々の衰弱が顕著に表れてきた。「小山(こやま)」「大山(おやま)」の2つある島のうち、小山の南側斜面では5日までに約385立方メートルが崩落しているのが分かった。市教委と市文化財審議会は、植生の変化や鳥の糞(ふん)害、台風被害などによる大山の環境変化が、小山にも影響しているとみている。11月中に文化庁調査官が神島を訪れ現状を調べる。 審議会委員の玉井済夫さん(68)=田辺市湊=によると、小山の崩落は高さ約11メートル、最大幅7メートル、最大奥行き5メートル。今夏に崩れたとみている。木が弱ってきてその周辺の地盤を抱えきれなくなったらしい。 神島の植生は、神島保存を訴えた南方熊楠が、1934(昭和9)年に調べている。このときの島はタブノキが大半を占める森林だったが、84、85年に玉井さんらが調べたところ、タブノキはごく少数でホルトノキ、バクチノキ、クスノキ、ムクノキ、エノキなどに取って代わられていた。特にホルトノキやムクノキは、熊楠の記録に載っていなかった樹種。衰退して深い森から徐々に浅い森へと変化してきていると、玉井さんは分析した。 88年から数年間、カワウの大群が大山の東端部をねぐらに利用。最も多い時には約500羽が住み着き、おびただしい量の糞が積もった。そのため、神島の森林の一部は荒廃し、部分的にがけの崩壊まで起こった。さらに追い打ちを掛けるように、98年9月に台風7号が田辺湾沖を通過して御坊市辺りに上陸した。この台風の強風によって衰弱木が倒れた。 植生の変化に加え、これらの被害が木々の衰弱に拍車をかけているとみている。 市教委や市文化財審議会は、対策として大山の頂上付近を覆って遮光している蔓(つる)植物のテイカカヅラのせん定などを考えている。 テイカカヅラは、神島の在来種だが、繁殖しすぎて衰弱した木々を覆ってしまい、光が当たりにくくなっている。また、大山の南側に生えている本来なかったシュロ1本も伐採する考えだ。国から現状変更の許可が出ており、早急に対応したいという。 市教委は「いま、神島の森は、木が弱って潮風が深部まで入り込むという悪循環になっている。なんとかこの循環を断ち切りたい」という。 玉井さんは「植生がなぜ変わってきたのかは不明だが、ここ50年ほどの神島周辺の環境の変化を考えざるをえない。いま何とかしなくては、熊楠が守った森が消えてしまう」と危惧(きぐ)している。


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