1.佐呂間の竜巻:あすで1年 被害跡消えても、残る心の傷 /北海道(毎日新聞),毎日新聞
RV=94.8 2007/11/06 13:00
キーワード:竜巻,犠牲,慰霊,援護,連携,里,管内
死者9人、負傷者26人の大惨事となった網走管内佐呂間町若佐の竜巻災害から、7日で1年。現地はほぼ復旧し、平穏な日常を取り戻した。しかし、住民は強い風が吹くたびに竜巻を思い出し、トラウマ(精神的外傷)に苦しんでいる。一方で、記憶の風化を懸念する声もある。住民らは7日、慰霊之碑の前で一周忌の集いを行い、犠牲者をしのぶ。【高橋正博】 ◇よみがえる恐怖 「風が強いと眠れなくなった」。小笹ハマエさん(74)は今でも恐怖を思い出す。1人でいるのが怖くて、夫直一さん(77)のパチンコや釣りに同行するようになった。 2人は竜巻に襲われたとき、自宅居間にいた。窓の外が異常に暗く木の葉が舞ったのが見えた直後、家の屋根の半分が吹き飛ばされ、通りに面した2枚の窓が割れた。ハマエさんは「ほおが引っ張られ、皮膚がはぎ取られたと思った」と言う。直一さんは「竜巻のあとは、窓から入道雲が見えると気持ち悪いし恐ろしく感じる」と話した。 焼き肉店を経営していた山口清子さん(65)は、店の掃除をしていて竜巻を目撃した。自宅に戻ると屋根と窓ガラスが吹き飛んでいて、修理不可能になった。教員住宅での仮住まいを経て、住宅を新築。「よその・暴个襪海箸盥佑┐燭韻鼻∋弔辰動柄阿両貊蠅北瓩譴討茲・辰拭廚箸いΑ・靴・掘峭・け世・甦鵑辰討C燭蕁⇔鬼・鮖廚そ个靴読坩造砲覆襦・悗泙気・戮箸六廚Δ韻匹諭・海鵑糞せ・舛呂燭屬鵝∋爐未泙蚤海・鵑世蹐Δ諭廖?br> ◇遠ざかる記憶 消防団員の面(おもて)栄次さん(52)は竜巻直後、経営する電気工事会社の従業員15人と共に、倒れた電柱や樹木で足の踏み場もなかったメーン道路の開通や、屋根を飛ばされた住宅の応急修理に力を尽くした。「今はもう完全に住みよい町に戻った」という。 一方、犠牲者9人は全員、新佐呂間トンネルの掘削に携わっていた。トンネル本体ができる来春には、現在工事に従事している人たちもほぼ全員が佐呂間を離れる。犠牲者に若佐の人はいなかったため「この竜巻もいずれ住民から忘れ去られるのでないか。遺族もいつまで慰霊之碑を訪ねてくれるだろうか」と思う。 ◇地域のきずな強く 「ずいぶん多くの人が慰霊碑に立ち寄って、合掌してくれた。観光バスの団体も寄ってくれるけど、竜巻で壊された跡などないから説明に困るんだよ」。若佐自治会長の桑原茂さん(70)は、国道333号沿いに建つ慰霊之碑に花束を手向けながら苦笑した。 桑原さんは竜巻直後、住民の安否確認や物資の配布、マスコミ対応などに当たった。その貴重な経験を買われ、自治体や町内会から講演会に呼ばれた。毎月7日、地元の人たちに集まってもらい、献花式をしてきた。桑原さんは「竜巻をきっかけに、住民同士のきずなが強くなった」と地域の変化を語る。 3日、若佐自治会は町から災害救助功労者として表彰された。表彰状には「被災者の救助、被災住宅の応急処置、生活物資の融通、各種イベントの開催を通じて住民の心の支えとなった」とあった。 ◇「弱者対策に全力」−−佐呂間町長 佐呂間町の堀次郎町長(69)は竜巻被害1年を前にインタビューに応じ、高齢者など「災害弱者」対策に全力を尽くす意向を示した。 ――復旧状況は 「住宅全壊が5軒あったが、全員が新築するなどして落ち着いた」 ――トラウマが残る人もいる 「今も不安がぬぐえない人もいる・⊇・厩腓い吠颪泙譴討い襪Δ舛法∋・屬・魴茲靴討・譴襪里任呂覆い世蹐Δ・?br> ――記憶の風化を心配する声もある 「慰霊之碑の清掃を町内の公園や公共施設を清掃している佐呂間管理組合に発注したい。若佐の人たちも清掃や管理をしてくれている。風化の歯止めになるだろう」 ――災害弱者対策は 「『災害はいつ起きるかわからない』と今年5月、地域担当員制度を始めた。9地域を係長以上の職員と保健師ら5〜9人ずつが担当し、水害に遭いやすい低地に誰が住んでいるか、洪水の起きる恐れのある河川などを具体的に把握し、自治会や民生児童委員などと連携しながら対応する」 ――高齢者は不安だ 「独居高齢者、高齢夫婦世帯、寝たきり高齢者、身体障害者など、災害時に避難しにくい人のリスト(要援護者台帳)づくりも始めた。健康状態や緊急時連絡先を記入。その情報を役場や消防、警察、自治会、民生児童委員、助け合いチームが共有する。来春までに完成させる予定だ」……………………………………………………………………………………………………… ◇佐呂間町の竜巻災害 06年11月7日午後1時20分ごろ、活発な積乱雲が佐呂間町付近を通過したのに伴い竜巻が発生。特に、同町若佐地区は最大80〜90メートルの突風に見舞われ、プレハブ造の新佐呂間トンネル工事事務所が吹き飛ばされ9人が死亡したほか、26人が重軽傷を負い、建物損壊は101棟に上った。11月6日朝刊
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