2.「まさか」住民絶句/伊良部女性殺害
,沖縄タイムス
RV=58.6 2007/12/04 12:00
キーワード:佐久,容疑,犯行
宮古島市伊良部島で農業佐久本フミさん=当時(79)=が殺された事件は、犯行から十七日目の三日、隣家に住む松原定雄容疑者(76)が犯行を認め、急展開した。松原容疑者は捜査員に「佐久本さんとトラブルがあった」と話しているものの、詳しい動機は謎に包まれている。「物静かで恨みを買うようなことは考えられない」と周囲が口をそろえる高齢女性を、何度も刃物のようなもので殴りつけて殺す陰惨な事件。サトウキビ畑が広がる小さな島で、長年にわたって顔を合わせてきたはずの者同士に、何が起きたのか。地域の結び付きが強い住民らの間に、困惑とやるせなさが漂っている。
容疑者逮捕の一報を受け、佐久本さんの自宅には親せきら数人が集まった。親族の男性は「警察から連絡を受けたが何とも言えない。落ち着いてからにしてほしい」と声を落とす。一方、隣の松原容疑者の自宅。雨戸がすべて締め切られ、人がいる様子はない。
宮古島市議の佐久本洋介さん(60)は、松原容疑者と被害者の佐久本さんの両方の親せき。「顔見知りばかりの小さな島とはいえ、まさかこんなことが起きるとは…。複雑な思いだ」と絶句。「容疑者が本当に殺したならすべてを話し、罪を償ってほしい」と言葉を振り絞った。
伊良部島のタクシー運転手の男性(52)は「佐良浜の農家の女性は怖がって『畑にも行けない』と心配していた。これで安心できると思う」。
関係者の話では、松原容疑者と佐久本さんは長年にわたって隣人同士。県警によると、松原容疑者は「台風の後に資材が佐久本さん宅に飛ばされたが、なくなったので佐久本さんが取ったと思った」と話しているが、それが殺意を抱く動機だったのかは不明だ。
畑で発見された佐久本さんの遺体は、頭部などが激しく損傷。重い刃物のようなもので繰り返し殴りつけたとみられ、捜査員は当初から恨みによる犯行との見方を強くしていた。だが、佐久本さんの評判は「物静かでおとなしい」というものばかり。凶器の捜索も進まず、捜査員には疲れの色が濃くなっていた。
一方、松原容疑者は事件発生直後から捜査線上に浮上。事件から二日後の十九日に現場から数百b離れた路上で、はだしで歩いている姿を地元の男性(54)に目撃されていた。
男性によると、松原容疑者は「家まで車に乗せてほしい。血圧の薬が切れたので体調が悪い。昨日(十八日)はこっち(畑)で泊まった」などと説明。顔色が悪く、服は泥で汚れていたという。
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