2.漂着ごみ削減へ地元の期待増 答志島でモデル事業スタート
,中日新聞
RV=41.7 2007/12/11 12:04
キーワード:削減,ごみ
【三重県】流木などの漂着ごみ問題を抱える鳥羽市沖の答志島が、環境省の漂流・漂着ごみ削減調査事業のモデル地区に選定された。10月から、ごみの漂流ルートや種類などの分析調査がスタート。同省は「あくまでもモデル調査」と慎重な姿勢だが、地元では抜本的な解決に向けた動きとして、期待する声が少なくない。
ごみ削減調査は、2008年度までの2カ年事業。同島の桃取地区などの海岸沿いを2カ月ごとに定点観測し、漂着ごみの量や種類を調査するほか、発生源の特定、効果的なごみ処理方法などを探る。全国7県11海岸が対象で、選定にあたり同省から県に打診があり、台風や大雨のたびに漂着ごみに悩まされる答志島が県内で唯一、選ばれた。
今月1日には、10月の第1回調査をもとに、同省、県、市、地元漁協、識者らによる検討会を開催。現状報告と今後の調査の見通しなどを話し合った。同省や調査委託されている環境コンサルタント会社は、全国で実施している共通の調査内容を説明。鳥羽磯部漁協桃取町支所からは「海岸が流木で埋め尽くされ、出漁できないこともある」との声があったほか、石原義剛・海の博物館館長も「他県のモデル地区と同島の調査がどう違うのか教えてほしい」と述べるなど、「地域独自の調査方法が必要」とする意見が多く出された。
同省は「あくまでもごみの分析・分類調査で、モデル事業と考えてほしい」と早急な削減策には慎重な構え。しかし、同島が選定された経緯に流木問題があるだけに、「現在の調査が削減にどうつながるのかが見えにくい」と調査自体に疑問を投げかける声もある。
同省の立場に対しては、地元行政からも注文が出され、県環境森林部の寺沢一郎・水質改善室長は「伊勢湾に面する三重県から、ごみ問題の現状を発信していかなければならない」と広域的な取り組みを提案。木下憲一・市企画財政課長も「モデル地区に選定されている他県との会合や、島民向けに検討会を公開してみては」と情報共有の必要性を求めた。
緒に就いたばかりの調査で成果を求めるのは時期尚早。しかし、同島のごみ削減に向け、「モデル」だけで終わらせることがないよう、地元の意見を積極的に反映させた調査が求められる。
(奥野賢二)
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