地震国であるわが国では,地震災害による被害を軽減させるため,行政のみならず企業においても多くの努力と費用により防災対策を進めて参りました.さらに,1995年の阪神・淡路大震災以降,2000年鳥取県西部地震,2001年芸予地震と続き,企業防災の必要性がますます強く認識されているところです.その上,2001年7月には政府の中央防災会議で想定東海地震の震源域や地震動・津波問題が23年振りに再検討され,新たな対策が始められました.また,10月にはいよいよ東南海・南海地震調査会も立ち上がり,今世紀半ばまでには必ず発生すると予想される広域・巨大災害の減災対策が具体化されようとしています.
一方,米国でも,西海岸に平行して存在するサンアンドレス断層運動に起因して,1989年ロマプリエータ地震,1994年ノースリッジ地震が発生し,カリフォルニア州の多くの企業も被害を被り,企業防災の必要性を痛感し,これに積極的に取り組んでいる企業が増加している現状です.しかも,近年,カナダと米国の国境付近を中心とした北西太平洋沿岸で,300年から350年周期でマグニチュード8から9クラスのカスケーディア地震が発生してきたことがわかって参りました.そして,日米の津波研究者による共同研究によって,前回は1700年に発生したことが判明し,現在,すでに危険域に入っていることから,急遽,地震・津波防災の緊急性が認識され,具体的な減災のための施策が実現されつつあるところです.2001年のシアトルの地震はまさに近い将来,巨大地震が起こる前触れと考えられています.
さらに,近年,東南アジアをはじめ環太平洋地震帯では,火山,地震,津波災害が頻発し,また地球の温暖化に起因する洪水災害もわが国のみならず多くの国で多発してきております.
こうした現状を踏まえ,日米を中心とした行政・企業の防災対策関係者が一堂に会し,企業や地域の防災対策について意見の交換や対策事例の紹介を行うことになり,その第1回のシンポジウムが1991年米国・サンノゼ市で開催されました.以後,日米で交互におよそ2年ごとに開催し,第5回を2000年11月に同市で開催し,成果を積み重ねてきたところです.そして,第6回のシンポジウムを大阪市で開催することに致しました.第6回を迎えるにあたっては,防災・減災対策という重要課題を日米のみならず世界の企業,行政関係者に参加いただき,企業と地域を災害から守るための知恵を共有して,一層実り多いものにしたいと考えております.
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