Memorial ConferenceII DRS
Memorial Conference in Kobe II(1997年2月24日)からの提言

 「Memorial Conference in Kobe II」は,1997年2月24日神戸国際会議場において約400名の参加者を得て開催された.阪神・淡路大震災から私たちが学ぶことは多く,社会のさまざまな分野で検討や改革がなされている.この災害が持つ多様な側面について学び,震災について正しく理解し,再びこのような災害を繰り返さないためにも,異なる背景をもつ人々と語り合うことは大変重要である.

 1996年1月18・19日に開催された「Memorial Conference in Kobe」では,こうした話し合いを続けることの重要性を深く認識するとともに,その努力を継続するために「阪神・淡路大震災の教訓を世界と21世紀に発進する会」を設置し,2005年までの10年間,この会議を毎年継続することを決めた.「Memorial Conference in Kobe」は,防災とこの震災からの復興の取り組みに関心を寄せる人が集い,その年の各分野の活動がわかる会議となることを目指している.

 午前中の会議では,「震災を契機として近畿地方の防災がどのように変わったか」を,活断層理解,たてものづくり,まちづくり,地元自治体という4つの立場から話し合った.また,午後には「阪神・淡路大震災からの産業と経済の復興」をテーマにパネルディスカッションを行い,神戸市長から神戸市の復興への取り組みと課題も報告された.また,展示会場ではさまざまな団体の試みが展示された.

 今年の会議からえられた教訓は次の4つである. すなわち,

1.防災は広域で考えなければならない.

 地震防災対策の前提となる活断層にもとづく地震動評価においても,行政単位をこえた広域の対応がもとめられている.また,災害対応においても行政単位をこえて広域に助け合わなければならない.

2.防災に性能主義を導入しなければならない.

 個々の建物,そしてその集合体であるまちも,たんに基準に従うのみでなく,自分の地域をおそう地震に耐えうるだけの性能を持たせなければならない.

3.復興は新しい時代の始まりとしなければならない.

 神戸を筆頭に被災地はどこもこの2年間がんばってきた.しかし,格差も広がり,難しい問題も依然として残されている.それを乗り越えられるのは,新しい時代を作ろうとする被災地の人々の創意と工夫である.

4.こうした努力を誰もが続けなければならない.

 最後に,来年の「Memorial Conference in Kobe III」は1998年2月21日(土曜日)に今年と同じく神戸国際会議場で開催する.来年もご参加いただき,1年間の復興を見守っていただきたい.


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター