Memorial ConferenceIII DRS
Memorial Conference in Kobe III(1998年2月21日)からの提言

 Memorial Conference in Kobe IIIは、1998年2月21日、神戸国際会議場において多数の参加者を得て開催された。

 阪神・淡路大震災からの3年間、社会のさまざまな分野で震災の意味を問う試みが続けられている。各分野での議論の深まりとともに、Memorial Conference in Kobe IIが訴えた「私たちが学ぶことは多く、社会のさまざまな分野で検討や改革がなされている。この災害が持つ多様な側面について学び、震災について正しく理解し、再びこのような災害を繰り返さないためにも、異なる背景をもつ人々と語り合うことは大変重要である。」というメッセージはこれまで以上に切実な問題となってきた。

 1996年1月18・19日に開催されたMemorial Conference in Kobeでは、2005年までの10年間この会議を、毎年2月の策3土曜日に開催し、防災とこの震災からの復興の取り組みに関心を寄せる人が集い、その年の各分野の活動がわかる会議を続けることを決議した。震災から3年を経た今年も、多くの方のご支援によってMemorial Conference in Kobe IIIがここに開かれた。

 午前中の報告では、「震災から3年をすぎて復興はどこまで進んだのか」を共通テーマにして、社会基盤の復旧、住まいの再建、まちづくりの推進、雇用・産業の振興、生活再建の推進という5つの側面について、現状が報告された。午後には「ルミナリエの光と影」と題して、被災地にいかに人々を集めるかについてパネルデイスカッションを行った。併設された展示会場ではさまざまな団体の試みが展示された。

 最後のパネルディスカッションを通してえられた震災3年後の教訓は次の5つである。

すなわち

1.今年、緊急復興3カ年間計画が完了した。

 その間に被災地では、住宅を除く社会基盤施設の復旧が成し遂げられた。

2.復興都市計画事業を中心とするまちづくりと人々の生活再建はいま正念場を迎えている。

 そこに被災地をどう元気づけるかという共通の問題の存在が明らかになってきた。今後、高齢少子化時代を先取りし、時代に即した人間関係づくりとコミュニティーづくりが進められなければならない。世界に誇れる景観と文化を持ったまちづくりを目指した復興を進めていかなければならない。

3.お金が落ちなければ復興はないが、お金だけでも復興はない。

 スモールビジネスを核とする新しい地域型産業の創出・育成も緊急の課題である。一方で、市民自らが誇りを持てる復興を進めなければならない。

4.ルミナリエは、震災復興の象徴であり、単なる鎮魂の儀式であってはならない。

 被災地の人々の暖かい心を世間に示す祭りとならなければならない。

5.震災の教訓を一人一人が見つけ、将来に活かしていかなければならない。

 こうした努力をもう一年、誰もが続けなければならない。そこから新しい市民社会を展望する可能性が開けるであろう。

 来年のMemoriaI Conference in Kobe IVは1999年2月20日(土曜日)に神戸国際会議場で開催する。これからの1年間の復興を見守っていただき、来年もご参加いただきたい。


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター