Memorial Conference/V | ![]() |
Memorial Conference in Kobe Vは,2000年1月22日,神戸海洋博物館において志を同じくする多数の参加者を得て開催された.これまで4回のMemorial Conferenceを通して,この災害が持つ多様な側面について学び,震災について正しく理解し,異なる背景を持つ人々が語り合い,伝え合う努力を続けてきた.10年間継続するこの会議の中間年にあたる今年は,これまでの5年間のまとめを被災地外の人にも知ってもらうことを願って,Memorial Conference in Tokyoを2000年1月17日・18日に建築会館で開催した. 今年のMemorial Conference in Kobeでは,高齢社会下の震災を全体のテーマとしてとりあげた.午前中の会議では20歳台から70歳台までの方々の10の被災体験を「人生の先輩から次の世代へのメッセージ」として紹介した.午後のパネルディスカッションでは「高齢社会と都市災害」の問題について語り合った.神戸國男さんの弾き語り,ニューフィルハーモニー・ジュニアオーケストラの演奏は参加者の気持ちを清めてくれた.また,展示会場では故草地賢一さんを偲ぶ展示をはじめ,さまざまな団体の試みが展示された. 今年の会議から得られた教訓は次のとおりである. すなわち 1.高齢者は自分自身だけでなく,家族を,地域社会を守らなければならなかった.再建の経済的困難とともに,長年慣れ親しんだ環境が失われることもショックだった.そのため,高齢者独自の苦労,不満,悲しみがある. 2.震災は人々に「生きる」ことの意味を改めて問うた.震災直後は「生き残った」ことの大きな感動があった.その後「生きる」目的を見つける長い試練の時もあった. 3.高齢者は震災から自分で立ち直る力を持ち,立ち直ろうと努力を重ねている.しかし,一人だけでは立ち直ることはむずかしい.人と人のつながりが,被災者に大きな力を与える.地域社会は人々の生活の原点である.立ちかえるべき原点を失うと立ち直りもむずかしい. 4.震災は決して負の遺産だけではない.復興を目指したこの5年間にたくさんの知恵や工夫が生まれた.それを過去のものとしてふりかえるだけでなく,これからの未来へと生かしていこう. 5.震災の体験は人によりさまざまである.全体をまとめて語ることができる人は誰もいない.被災地の誰もが自分自身のことを一人称で語る必要がある.メモリアルコンファレンスは,それを共有する場であり続けたい. 来年のMemorial Conference in Kobe VIは,2001年1月21日(日),神戸海洋博物館において志を同じくする多数の参加者を得て開催する. |