Memorial Conference/V/あなたの体験 | ![]() |
佐原 ふくお "ウー!ドーン!"今も恐怖心が残る。得たいの知れない鋭く強い突き上げ、渦巻く激しい横ゆれが瞬時に襲う。体は跳ね上りバランス感覚も失う。気付けばL字型に座っていた。次の瞬間、事態を本能的に察知した。ただならぬ「地震」を。 当時、23才の長男と61才の私の2人生活。彼は1階、私は2階で寝起きしていた。 子供の名前を叫んだ!返事がない!必死に叫び続けた!帰って来ない!これ以上はないショックが走る。かけ巡る!真白になった!激しい余震。悲痛だった。 「オヤジ大丈夫か!」子供の声が聞こえる。一瞬、地震を忘れ、子供に・故父母に・先祖に・すべてに拝み感謝した。 部屋を出た。どのようにして出たかは今も思い出せない。早く子供の元気な姿を見たさだった。20年前につけた階段手すりを右手でつかみ一段一段と途中まで降りた。子供が声大きくそこまで上ってくれる。彼は私の左手をとって自分の肩をつかませる。二人して手すりを持ちつつ曲がり階段を降りる。その肩から伝わる子供の生命の温もりは終生忘れ得ないだろう。 二人、何とかして道路に出た。 近所のお家数軒も無残に倒れている!北にある坂道の両サイドの石垣が崩れている!坂道がない!坂道下のお家二軒がつぶれ、崩れた石垣の下になっている!ただただ呆然!足元が・体が・心が・震える! 壊れたお家の方々から「助けて!助けて!」ご悲鳴が。お家方々内の「大丈夫か!」の叫び合うお声が!余震に脅えながら、道路に出た方々とご一緒の救助活動が始った。 あれから5年。あのふるえ・あのおびえ・あの恐怖が心に生き続けている。こんな私の支え歌として昨年より某レコード会社様に指導を受けつつ演歌作りの真似事を始めた。私の「証言」として我家に残したい。添付の詞はその一つである。 以上 「命燃やして」
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