Memorial ConferenceVIわたしの「災害ボランティア」体験 DRS
Memorial Conference in Kobe VI 〜 わたしの「災害ボランティア」体験

私の災害ボランティア体験
神奈川県横浜市IVUSA 佐藤 杏子

 私が災害に対するボランティアを始めたのは、大学に入ってからのことです。今年私が参加したのは、三宅島での降灰除去作業、愛知の豪雨で同じく被害を受けた岐阜県恵那地区での砂の除去作業、そして、直接的なボランティアではありませんが、岩手県でのボランティア・コーディネーター養成研修会が大きなものです。
 今回は岩手での研修会について話したいと思います。この研修会は事前研修と実施研修にわかれていて、私は実施研修の方にだけ参加させていただきました。岩手山噴火を想定して、実際に避難所を設営するというものでした。
 私が今回一番思ったことは、災害への対応というのは私達みたいなボランティアをやる側はもちろんですが、普通にそこに暮らしている人がもっと考えるべきなのではということです。そしてボランティア側も災害が起こったときだけ行くのではなく、もっと常に災害について考え、それを住民の生活の中に浸透させていくべきだと思います。それに必要なのは、今回のような住民をまじえた訓練を行うことではないでしょうか。私は今まで、ボランティアというと現場で肉体労働をするというイメージが大きかったのですが、研修会に参加してみて、そのボランティアをふりわけたり、事務や総務のような仕事をするボランティアも必要になったり、時にはそこで暮らす住民もボランティアと同じことができうるというこを知りました。また同時にボランティアを受け入れるのはそこに住む人でなくてもいい、受け入れるのもボランティアでやってもいいということも知りました。
 次に、私が岩手でとても驚いたことが1つありました。それは現地の人の意識の低さでした。訓練だからかもしれませんが、マニュアルなしで動かなくてはならなかったので、研修の中で本当に岩手山噴火の危機を感じていないのではと思ってしまいました。はじめ私は自分たちのことなのになぜもっと意識を高められないのかと、少し怒ってしまっていましたが、じっくり考えていろいろな人のお話を聴いてわかりました。意識の低さを責めるのではなく、意識を高めるためには何をすべきなのか考えていくべきだと。
 今、災害がどこかでおこると、世間は起こったそのはじめだけに注目して、少したつと関連の報道は少なくなります。三宅島のことがいい例だと思います。緊急災害派遣も重要ですが、それ以上に前もっての準備・対策や、また長期を考えたボランティアが重要だと言うことが、今回の研修を機会に本当に理解できたと思っています。私自身まだまだ未熟ですが、自分にできること、IVUSAとしてできることをしっかり考えて、これからも活動していきたいと思っています。


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター