Memorial Conference/VII/すまいとくらしの再建 | ![]() |
神戸市中央区 門田 至弘 震災後失われた膨大な住宅の再建に関し、公民を挙げてさまざまな取り組みがなされましたが、その中で重点的に取り組んだマンション(区分所有)の再建(建替)についてふれてみたいと思います。 □震災後の混乱の中での再建への取り組み 何より心に強く残っているのは、あの混乱の中で自らも罹災しながら、いち早く住民の安否確認に始まり、再建に向けての動きを開始した管理組合理事長はじめ役員の皆さんの努力、再建に関しての百数十回に及ぶ集会等会合の推進など合意形成に向けての関係者の熱意と、仮住宅を遠方に求めた方をはじめバラバラの住まいの中でこれに応えてきた組合員の努力である。勿論これを支えてきたコンサルタント、ゼネコン等の努力は欠かせない。再建マンションは10戸未満より大は306戸まで、平均70戸余の所有者が意を一にして取り組まねば再建など到底覚つかなく、混乱時での合意形成であるからこそより困難が想定される中で、108棟のマンションの再建が実現したことは驚きに値する。 □再建の主なる課題 一.区分所有法における課題 ア建替決議の要件が不明確(費用の過分性、敷地の同一性、不参加賛成者)非常力賛成者の取り扱い等 イ建替団体の法的性格(法人格) ウ団地の建替 二.その他 ア高齢者を始めとする建替が困難な者等の居住の安定のための措置 イ抵当権等担保権等の処理 ウ既存不適格建物の取り扱い マンションは今日では都市部における居住形態(凡そ10人に1人)としては定着しており、現在のストックは約385万戸に達しうち築30年超のマンションは約12万戸で、10年後には約93万戸に達すると見込まれ、老朽化等の進展と共に建替が不可避となるのは明らかであり、いずれ大きな都市問題に発展するのは避けられない。 この度のマンションの再建に際して、建物の区分所有等に関する法律等内在する課題が表面化してきており、今後の解決が待たれるところである。国においては、区分所有法の法制審議会への諮問など改正の動きがあるほか、建替促進に関する各種法制等の整備に向けての動きも顕著であるなど、震災を契機として建替を円滑に推進できるような環境が整いつつあるのは、マンション再建の関係者としては喜びに絶えないところである。 |