Memorial Conference/VII/すまいとくらしの再建 | ![]() |
神戸市中央区 萱原 喜美代 ベランダに真っ赤なハイビスカスの大輪が咲き誇っています。この花を見ながら、つくづくコレクティブに住む幸せを感じています。 実は、不注意から転倒して手首骨折をし、その日から娘宅に身を寄せていました。家のことをほったらかし。十日たって帰宅した時迎えてくれたのがこのハイビスカスです。鉢の土もしっとりとし、葉も生きいきしています。何もお願いしなくても、お隣りさんが花に水をやり、新聞受けの始末をし、郵便物が山盛りにならないように配慮してくださっていました。本当に嬉しかったです。 このような幸せを実感したことが以前にもあったのです。 コレクティブの建て方の特徴として、南側のベランダが八軒分行き来の出来る道路のような型で、西の端の私宅から東の端まで見通しが効きます。このベランダで夏の夕涼みは勿論、冬でも晴れた日には住人が夫々に洗濯物を干しに出ています。そこで笑顔で挨拶をし、楽しい話題へと進むことも度々あるのです。もし干す時刻に会わなくても、「○○さんのおばあちゃん、きょうはゆっくり洗濯されたのだな。」と干し物を見付けて安心しています。これが大切なポイントで、何日も干し物が無い時は、「お出かけかな。」と確かめに行ったり、もしもしと裏から声かけをすることにしています。 私のことですが、一昨年珍らしく夏風邪気味で三日間洗濯もせず、外へも出ず家の中でゴロゴロしていたら、並びの奥さんが裏から覗かれて体調を聞いてからすぐに冷やっこを持って来て下さいました。その美味しかったこと、今迄に味わったことの無いほど口当たりが良くて美味しさと嬉しさで涙が出そうでした。その後食欲も出てきてぐんぐん快復しました。これこそ地でいく『遠い親戚より、近い他人』そのものです。今の私には、コレクティブに住んでいてよかったと幸せを感じると共に、大きな安心があり、行く道の老い先が明るく見えてきて、まだまだ元気に生き続けていけると確信を持っています。以上のような私の体験から他人を思いやる気持ちがコレクティブに流れている温かい心なのだと思います。「こうしてあげよう。」とか「これをしてあげなくては。」でなく、お互いに自分の事のように自然に行う。 これ等の嬉しかった気持ちをもう一度しっかり噛みしめて、「私の出来ることをだれにも気軽にして差し上げたいと思っています。」 今の私の住いは、声を掛け合い、みんな仲よく、楽しい場所です。 天国です。 |