Memorial ConferenceVIIすまいとくらしの再建 DRS
Memorial Conference in Kobe VII 〜 すまいとくらしの再建 −わたしたちの場合−

ローレルハイツ神戸1号棟再建の場合
神戸市兵庫区 澤田 清

 阪神・淡路大震災で被害を受けた私達は、同じ場所で建て替えをしなければならないという前提条件がある。間取りが気に入らないと言って、他へ行って住むということはできない。
 区分所有法による再建決議は、各自が新しい住戸のどの部屋に入居するかを決定しなければ成立しない。したがって、建物の形がないときから、入る部屋が決まっている。
 私達が住むのではあるが、再建組合としては、住む人の立場になって考えようと言うのが我々の大きなテーマであった。お金のない私達のために兵庫県住宅供給公社が代わりに施主となって、設計事務所、建設会社とに発注することになるけれども、私達のわがままを受け入れたために、たいへんなお手数をおかけすることになったが、気持ち良く受け入れて戴けて大変感謝している。
 設計会社が提示した各面積ごとの平面図は、私達、住民側の、若年世帯も熟年世帯も両者が満足するものではない画一的な平面であった。そのためどの面積のものも、和室の多いA案、洋室の多いB案と2タイプ作ってもらい、その部屋に住む人に選択してもらった。そのため総戸数306戸に対して総タイプ数は80以上になってしまった。
 室内の床仕上げの色もナチュラルブラウン(茶色)、カジュアルブラウン(淡い茶色)、モダングレー(灰色)の3色から、各入居者に自分の住宅の色を決めてもらうことに決定した。それによって、扉の色、洋室の幅木、和室の畳のへりの色、システムキッチンの扉・引き出しの色も同じ色に決まる。
 システムキッチンの高さも、最近の若い人の背が高いため高さは80pと85pの2種として各戸に選択してもらった。標準仕様のものは、ステンレス仕上げであったが、オプションで人工大理石の白と石目調で、選択の幅を広げた。
 洗面も基本形式以外にシステム化粧台(人工大理石カウンター)をオプションにした。オプションにするとたしかに金額は高くなるけれども満足度の高いものになる。
 区分所有者は、自分たちのマンションが完成するのを待つのではなく、積極的に参加して自分たちの家を造ったという満足感をもった。
 以上のような結果として、コポラティブハウスのようになり、306戸で173タイプになった。


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター