「第8回全体ワークショップ」超広域災害災害からの復興を可能にするための政策のあり方

日時:2011年3月29日(火) 10:00〜17:00
場所:全国町村会館 2階 ホールB

平素より、首都直下プロジェクト研究推進にご尽力賜り、ありがとうございます。東北地方太平洋沖地震の発生を受けて、ご多忙のことと存じます。3月29日に予定しております第8回全体ワークショップの内容に関してご連絡させていただきます。

現状

今回の東北地方太平洋沖地震災害は、巨大地震、巨大津波に加え、原子力災害といった複合原因による大規模災害です。被災地が複数県にまたがるとともに、大量の被災者が隣接県のみならず、東京、大阪、新潟をはじめとして全国に拡散し、行政界を超えた支援サービスの提供が必要となる超広域災害となりました。被災者支援の現状をみると、全体として生活支援に比重が移ってきたとはいえ、甚大な津波被害を受けた太平洋岸の諸都市では依然として遺体捜索が中心課題である一方、比較的被害が少ない内陸部では仮設住宅。り災証明の発給要請など、さまざまな時点での災害対応課題が空間的に併存するかたちになっています。

課題点

そのため、これまでの伊勢湾台風・阪神淡路大震災をベースとした災害対策基本法、災害救助法、生活再建支援法などの被災者支援・災害復興の枠組みでは対応できない可能性が高いといわざるをえません。一例をあげれば、被災者生活再建支援金は、最大40,000世帯までしか想定していません。さらにり災証明の申請は災害救助法の指定を受けた市町村でしか受け付けできず、遠距離避者は支援の受給対象者とはなれません。現行制度をそのまま適用すれば、国や地方自治体の財政破綻を含めて、最悪の事態の悪化を招きかねない。
さらに、これまでの災害で繰り返されてきたように、災害対応に従事する方々は当面の対応に多くの勢力を殺がれ、長期的な見通しを持てないでいることも否めません。

解決法

今回の被災者支援・復興には、長期間にわたり必要な支援が、必要な人に、必要な時に、必要な量が提供される仕組みの構築とともに、自助、共助を生かしながら幅広いセクターからの支援を公平性、透明性を保ちつつかつ効率的におこなう「秩序ある被災者の生活再建」をめざして、法制度を含めた現行の防災政策の抜本的見直しが急務である。そこで、首都直下地震防災・減災特別プロジェクトサブプロBにご参加いただいている皆さんを中心にお集まりいただき、今回の震災に対する被災者支援・復旧復興に関する考えを共有し、どのような政策が必要となるのかを「被災者支援・復興に向けたアピール」として体系化し、各方面に情報発信したいと考えています。その際には、@法制度を改めるべきものは何か、そのようにすればよいのか、A政令等によって、積極的に推進すべきものはなにか、どのように具体化するか、B関係組織のあり方、組織間の協力連携のあり方、C被災者支援・復旧復興の推進方策のあり方、などできるだけ具体的な提言を行いたいと考えています。
ご多用とは存じますが、ぜひご参加いただきたくお願い申し上げます。

プログラム
10:00
開会挨拶:京都大学防災研究所 林 春男
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10:10
現地調査報告・提案:
現地調査報告
1) 岩手県対策本部での活動をふまえて 京都大学防災研究所 准教授 牧 紀男
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2) 岩手県・宮城県での津波被災地の調査をふまえて 富士常葉大学 教授 田中 聡
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3) サプライチェーンを考慮した企業被害の動的把握と優先支援の必要性
〜地域雇用・経済の早期復興を促す官民連携の重要性〜 名古屋工業大学 教授 渡辺研司
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4) 仙台市での避難所・福祉避難所予備調査をふまえて 同志社大学 教授 立木茂雄
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5) 内閣府EMC活動を通して 新潟大学 教授 田村圭子
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6) 緊急地図作成チーム(EMT)活動を通して 新潟大学 助教 井ノ口宗成
提案者
1) 大分大学 准教授 山崎栄一 
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2) 富士常葉大学 教授 田中 聡
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3) 財団法人日本法制学会 理事長 澤野次郎
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4) 京都大学防災研究所 客員教授 武田文男
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5) 岩崎敬環境計画事務所 岩崎 敬
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6) 首都大学東京 教授 中林一樹
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13:45
「被災者支援・復興に向けたアピール」に関するワークショップ
ファシリテータ:同志社大学 立木茂雄
16:00
「被災者支援・復興に向けたアピール」採択に向けた総合討論
16:30
終了