「第30回月例研究会」

日時:2011年5月20日(金) 13:30〜16:30
場所:有明の丘基幹的広域防災拠点 レクチャールーム2・3・4

「災害原因の科学調査(FORIN)」手法を使った東日本大震災の検証

FORINとは "Forensic Investigations" の略です。この名称の由来は、犯罪捜査においてさまざまな科学委術が組み合わされ、真犯人が特定される過程を、災害原因の調査においても実現したいという想いの反映です。いいかえれば、FORINは、真の災害原因を明らかにするために、学際的な手法を用いて、災害原因に関する仮説を根本から厳密に調査することを目指しています。しかしFORINは「過去の失敗や過失」だけに着目しようとするものではありません。被害を未然に防ぐことができた事例や、地域に組織によって被害程度に違いが出ることについても、科学的な調査の対象として、良い実践例を蓄積し、成功要因を同定することも活動に含まれています。

たとえば、福島第1原発の問題を取り上げると、同じようなハザードに見舞われたのに事故が起きなかった福島第2原発と比較して、あるいはもっと強いハザードに見舞われたと推測される女川原発と比較することで、何が違っているのかを明らかにする方法です。

今回の震災で良かった例と良くなかった例を取り出し、それを比較して、何がその差を生み出したのかを突き止めようとするものです。よかったことは今後に取り入れ、よくなかったことは改善することで、わが国の防災力を高めていこうとする試みです。

5月の研究会では、東日本大震災でこれまでに観察された事実あるいは、とられた対応についてみんなでFORINしたいと思います。

そこで、ご参加いただける皆さんに次のような宿題を出したいと思います。

1) ご自分が関心を持つ分野で、東日本大震災が発災してから最初の2か月間で、
2) 今後の防災に活かすべき良かった事例、あるいは今後改善すべき良くなかった事例をお示しください。
3) その根拠となった比較は何と何ですか
4) そしてなぜそうした差が生まれたとお考えですか。

全員にご発表いただきたいと思っています。

発表者

  • 1. 京都大学防災研究所 教授 林 春男
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  • 2. 京都大学防災研究所 准教授 牧 紀男
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  • 3. 富士常葉大学環境防災研究科 教授 重川 希志依
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  • 4. 第一生命保険(株)公法人部 顧問 武田文男
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  • 5. 関西大学社会安全学部 准教授 林能成
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  • 6. 日本社会事業大学 専務理事 宇野 裕
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  • 7. インクリメントP株式会社 経営戦略部 経営推進部 福重新一郎
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