Memorial Conference/IV/君の証言 | ![]() |
中西 彩 (西宮市立高木小学校) 1月17日、あの大震災は起こった。ガッシャーン。ドシン。 次々と物が割れ、机も傷だらけで、お皿のかけらが次々と下に落ちていく。私は、こんな光景が初めてなので、何が起こったのか全くわかりませんでした。まず、ズボンをはいて、パジャマの上からジャンパーを着て、あわてて外に出ました。外にはたくさんの人が家から飛び出していました。 少したって、だいぶ落ち着いたので、家に戻ると、電話が鳴ったので、私がとりました。それは、おばあちゃんからでした。 「はい。中西です。」 「あっ、あやちゃん?いま、・・・おじいちゃんが・・・。」 「え?どうしたの。」 「実はね。おじいちゃんが家の下敷きになっているのよ。もしよかったらこっちにきてくれるかなあ。」 「・・・うん・・・。」 電話を切ると、涙があふれてきました。1番好きだったおじいちゃんが死ぬなんて。悲しくて悲しくて、おばあちゃんの家に行くのがどうしてもいやでした。 そんな私に、お母さんが言いました。 「きょうしかおじじと会えないのよ。最後なんだから顔ぐらい見なさい。」 私は自転車に乗り、おじいちゃんの家に向かいました。道で迷ったり、電信柱が倒れていたり、とても恐ろしかったです。そして、ついにおばあちゃんの待つ家に着きました。 そこには、頭から血を流し、とても悲惨な姿のおじいちゃんがいました。でも、そんな姿になっても、私にとっては、いつもと同じ優しい「おじじ」でした。 地震は、わたしたちからいろいろなものを奪っていきました。他のものは作り直せたけど、人の命は元には戻りません。3年たった今でも、思っています。 おじいちゃんを返して。 |