Memorial ConferenceIV君の証言 DRS
「君の証言」

あたたかさ
木原 真理子 (神戸市立本山南中学校)

 私は地震のあと、すぐに家族と近くの公園へ行った。そこへは、他にもたくさんの人がいた。私達は本当に着のみ着のままという感じだったから、寒くて、お腹が空いてたまらなかった。しばらくすると、近所の人だと思われるおばんがこちらに近寄って来た。なんだろうと思ってじっと見ていると、そのおばさんはニコッと笑って「寒いでしょう、はい。」と言って毛布とあめをくれた。初めて人のつながりの大切さを知って、近所の人のあたたかさを知った。
 その後私たちは公園を出て、学校に行った。帰ってくる途中、又人のあたたかさに触れることができた。ちょうどその時私たちは、家に帰ろうかどうか迷っていたところだった。今から家をかたずけに帰るにも、また地震がくるかわからないし、公園にもどってもすることはないし、学校は避難所になってていっぱいだった。一体何処で寝ようかと途方に暮れていた。その時現れたのは、友達とそのお父さんだった。お母さんが事情を話すとその人は何度もうなずいた。その後、にっこり笑うと「それじゃあ、うちに来ませんか。3人位ならとめられますよ。」と言ってくれた。こんなみんな大変で、他の人にかまってられないときに、こんな嬉しいことを言ってくれる人がいるなんてと、とても感謝した。
 「お言葉に甘えて」というふうに家に行くともう一家族来ていた。全員で14人ほど、子供も多く、一人っこだったので私にとっては毎日が戦争だった。
 この地震を体験したことは、苦しみや悲しみばかりだったと思うけれど、学んだことは生きていくための、これからの人生のために大切なことばかりだと思う。


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター