Memorial ConferenceIV君の証言 DRS
「君の証言」

震災をのりこえて
藤井 舞 (神戸市立本山南中学校)

 4年前の1月17日5時47分、ものすごい揺れで目を覚ましました。ふとんと一緒に部屋の中をまるで、フライパンの中のいためものの様に、飛び跳ねていました。その時間は、とても長く、なにがなんだかわかりませんでした。兄が「これは、地震だ!」と叫びました。まっ暗闇の中で、母が「たいへんなことがおきたのだから、今日は、学校はないから明るくなるまで、動かないでふとんの中で、じっとしていよう。」と言いました。
 父は「外の様子を見てくる。」と言って、出て行きました。私達3人は、まっ暗で、しんとした静けさの中を朝が来るのをじっと待ちました。
 夜が明けて、部屋の中を見渡すと、めちゃっくちゃに壊れて、歩けない状態でした。
 近所の人達が、本山第3小学校に避難し始めましたが、わが家は、3人共インフルエンザで、高熱のため、外に出られませんでした。
 ふとんの中で、ラジオを聞いていると、友達の名前が流れてきました。
 いつも一緒に遊んでいたのに、信じられませんでした。その子は、お父さんと、お姉さんと共になくなりました。
 町も家も壊れて、心も壊れてしまった様でした。
 食べる物もなく、また何も、のどを通りませんでした。
 寝ていても余震がずっと続いて、またひどい地震が来るのではないかと、いつも緊張して、とても恐かったです。そして、とても寒かったです。恐すぎて泣くこともできませんでした。
 近所で、火が燃えても消防車もこないし、埋もれた人がいても救急車も来ません。私達は、見捨てられた気がしました。
 お父さんが、近所で埋もれた人を助けに行きました。道具がないので皆で、手でほりかえしたそうです。親子が無事に顔を出した時は、皆喜んだそうです。でも、まだ近所に倒れた建物の下じきのままの人達が沢山いました。
 私は、地震の時の事は、思い出したくないです。あの嫌な思いは、二度としたくないのです。この作文を書く事で、又、つらい日々の事を思い出してきっと暗い暗い気持ちになりました。皆、地震からずっと暗い気持ちを心のどこかに持ち続けていると思います。
 自然を壊すと、きっとよくない事が起こる気がします。自然を大切に、命を大切にして生きていきたいと思います。


Research Center for Disaster Reduction Systems, DPRI, Kyoto University
京都大学防災研究所巨大災害研究センター