高知県四万十町興津地区は、最新の津波想定では、最悪の場合で、津波高が25mに達し、30cmの津波であれば地震発生後わずか10分程度で来襲する可能性があるとされる地域です。
巨大津波による被害を防ぐために、これまでも津波避難場所や避難路など施設面の整備がかなり進んできましたが、そうした施設を生かすためにも、「適切な場所に迅速に確実に避難すること」が大切になります。
個別訓練タイムトライアルとは、避難に関する具体的な問題を個人ごとにつかんで対策を講じるために開発した方法です。
個別訓練タイムトライアルは、一人一人、個別に(または、家族単位で)行う津波避難訓練です。自分がふだんいる場所(たとえば、自宅や職場)から最寄りの避難場所まで、所要時間を計りながら実際に逃げてみます。
学校での防災学習と組み合わせる場合は、その様子を子どもたちがビデオ撮影し、その結果を分析して、子どもたちからのメッセージ(避難の改善点)を訓練参加者にお届けします。
さらに、避難の様子を、津波浸水シミュレーションと合成して、コンピュータ・グラフィックスで確認することも可能です。
自分自身が「主役」となる避難訓練を通して、津波避難を「わがこと」として意識し、けっしてあきらめることなく、逆に、油断することもなく、自分(家族)の津波避難の課題を見つけ、その解決方法を個別具体的に考えることができます。
学校での防災学習と組み合わせて実施すれば、子どもたちを含む地域住民の防災意識を高め、津波に関する知識を増やすことが出来るだけでなく、地域、学校、行政の間の協力関係をさらに強める効果も期待できます。
また、子どもたちから訓練に関するメッセージを訓練参加者(たとえば高齢者)に届けることで、世代を越えて「一緒に逃げよう」「共に津波の危険と向き合おう」という気持ちを高めることにもつながります。
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京都大学防災研究所 巨大災害研究センター
矢守研究室