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京都大学防災研究所 Presents

近況報告

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家具固定相談を実施しました(2015年11月更新) 

 11月9(月)、10(火)の両日に、四万十町興津地区にて家具転倒防止の啓発活動、「家具固定相談」を実施しました。

なぜ「家具固定相談」が必要なのか

 以前こちらでも書かせていただいていますが、現在家具の固定が進まない大きな理由として、「住んでいる住民さんだけでは家具固定するのが難しいことが多い」というのがあります。固定の方法がわからない、固定器具を取り付ける体力がないなど、当人の力のみに頼った家具固定の普及には限界があることが明らかになってきています。
 また、今年1月から地元自治体が家具固定への補助金を出す制度を制定、施行なさったのですが、こちらもなかなか制度の存在が住民の間に浸透せず、せっかくあるのにあまり利用されないという状況になっていました。

 この状況を打破すべく、あらかじめ定めた日時に家具固定講習会(勉強会)と講習会参加者による実地取り付けを行う日を定め、その日に家具固定を「されて」みませんか?という希望を募ることが必要となりました。これを行うのが「家具固定相談」なのです。
ちなみに実地取り付けとは、家具固定講習会を受けた住民さんが、家具固定が出来ない、でもやりたいという希望のある住民の方のお宅に入って家具の固定を行うというものです。これにより、個人では家具固定できなくとも、同じ地域の力も体力もある別の住民が家具固定を行うことで「地域で家具固定を推進する」ことができるようになるわけです。


図1 家具固定相談チラシ(個人名・連絡先を伏せています)


家具固定相談の様子

 家具固定相談は、地域の小・中学校に通う子供達と共に回ります。そこで家具固定相談の前に1時間、「なぜ家具固定をしない人が多いのか」、「家具固定をしない人にはどう勧めたらいいか」、「何に気をつけたらいいか」を家具固定の重要性と共に考え、学ぶ時間をとりました。
 子供達は子供達なりにグループで考え、発表し、「自分たちはなぜ家具固定相談に行くのか」という意義を多くの子が持てていたのではないかと感じています。


図2 事前授業の様子


 その後、班ごとに分かれて家具固定相談を行いました。相談は、あらかじめ班ごとに決めた担当の地域にあるお宅を戸別訪問し、ご在宅の場合は子供達と共に家具固定をしませんか?と勧め、希望を募って回りました。


図3 家具固定相談の様子


結果

 記事執筆現在、筆者が把握しているだけで55軒のお宅から家具固定の申請が出ています。もちろんこれで終わりなどではなく、この希望者のお宅の家具固定を具体的にどのようにするか考えたり、実際に取り付けする住民の方を募集する必要もあります。
 まだまだ道半ばではありますが、住民の皆様や関係者の方々と共に興津地区における家具固定の普及に尽力していこうと考えています。

※今までの家具固定に関する取り組みは次のリンクを参照してください。
>>>「興津 地震ザブトン体験&家具固定診断キャンペーン」
>>>「家具固定&中学校校内固定」「興津 家具固定取り組み」

京都大学大学院 情報学研究科 野嶋太加志

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