地域気象情報プロジェクトとは、気象情報をより身近に、そして災害時には事前に危険に気づけるように、気象情報をもっと利用する人に身近な存在として再構築する取り組みです。
過去の多くの災害を受けて、社会ではたくさんの気象情報が開発され、人々はその情報に依存するようになりました。一方で、多くの有用な情報に対し、利用する人々の意識はその情報に追いついておらず、現在の気象情報はまだまだ十分には有効活用されていない現実があります。
地域気象情報は、地域の誰もが知る場所の名称(例:街のスーパー)、地域で実際に起きた災害の名前(例:○○台風)、直感的に災害のイメージがわく表現(例:○○川が後1mで氾濫します)などを利用して、現在の気象情報を自分たち自身の身近な情報として置き換えて利用することで、気象情報を我が事として捉え、本当に災害が差し迫った際に、事前に災害への危機感を共有する試みです。
我々は、気象情報の作成者と利用者の距離を近づける試みとして、地域気象情報を提案しています。
このプロジェクトでは、現在、三重県中部に位置する伊勢市宮川沿岸一部地域を対象に、地域の学校や住民と協力しながら、「地域気象情報」の導入をめざした取り組みを行っています。普段から気象情報をより身近な情報として利用して頂くために、地域の住民が集まる場所に地域の気象情報を確認するモニターを設置し、また地域気象情報としてどのような情報が必要か地域住民と考えるなど、取り組みの中においても、できる限り情報を我が事として捉えられるよう地域住民自身が情報を考えるという視点を大切にしています。また地域の中学校にもモニターを設置し、気象情報を実践的に利用する教育を提供し、地域との連携を図っています。
本当に危険な時に役立つ気象情報を目指して、我々は気象情報を利用者へ還元する方法を探究するとともに、気象情報による地域の災害文化の復活を目指しています。
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄
京都大学防災研究所 巨大災害研究センター
矢守研究室