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京都大学防災研究所 Presents

第15回 飛田 哲男さん(京都大学防災研究所准教授)

「研究も人生も、地盤が大事!」(2ページ目/4ページ)
【聞き手 住田功一アナウンサー (NHK大阪放送局)】

母から聞いた「宇宙の果て」

住田:飛田さんはお生まれが埼玉で、そのあと7歳まで石川県、そのあと滋賀県に引っ越されたということですが、そもそも科学、サイエンスに対する興味というのは、お母様の影響があるんじゃないかと言う話を伺っているんですが?

飛田:はい、今思えば、そうかなという気はします。というのも、子供のころ、母からよく、宇宙について考えると怖いっていう風に聞いてたんです。

住田:何ででしょうか?

飛田:宇宙の果てがあるのかないのか、わからないっていうので、母は単に怖いって言ってただけなんですけれども、それを何度も何度も聞かされているうちに、僕の方で、本当はどうなってるんだっていうのを知りたいなっていう気持ちが芽生えてきたんだと思います。

住田:「お星さまきれいねみたいな」お母さんは多いけれども、「果てはどうなってるのか」と。それはやっぱり科学の心をよびさましたのかもしれませんね

飛田:かもしれないです。

住田:実は、大学に入られる直前にちょっとご苦労があったと。

飛田:あの、寄り道を。ほかの人よりも、長い寄り道をしていました。

住田:予備校のほうに?

飛田:2年間通わせていただきました。現役で失敗して、次の年何とかなるかなと思ってたんですね。それで1年浪人して、大学受験したら、どこも合格できなかった。そこで、これはえらいことになったと。それで、親に土下座をして、もう一年やらせてくださいと、頼みました。

住田:いかがですか、その、2年間で思われたことは?

飛田:そうですね、この2年があったから、今の自分があるっていう風に、思います。
何があっても、やればできるという自分の中の自信にもつながってますし、もう2年も浪人してしまったので、他の人と同じ道は歩まなくても生きていけるんだという気持ち芽生えてきまして、もう自由にやろうというふうに決めました。

住田:京都大学に進学されたあとには、地盤の振動特性というものの研究を始められるんですが、どういう研究なんですか?

飛田:地盤の中っていうのは、地層の並び方が複雑になっている場所があるんですよね。たとえば、昔川だったところっていうのは、少し段ができて下がっています。

住田:地層がちょっと下にぐにゅと曲がっている?

飛田:曲がっているんです。そこに、また上から土がかぶって、どんどん土がかぶって今の地表面があるということになります。

住田:今は平らに見えていても、地層は湾曲したり、あるいは違う層がたまっていたりするわけですね。

飛田:はい、そういうところに地震動、地震波が入ると、波の伝わり方が変わって、地表面の場所によっては、大きく揺れるところもあったり、小さく揺れるところもあったりして、複雑なことが起きるんです。

住田:あの、飛田さんが卒業間際に起きたのが、阪神淡路大震災でした。確かに、阪神淡路大震災の時は、同じ並びの家や建物でも、なぜかここからむこうと、ここからこっちでは、ぜんぜん壊れ方が違う、揺れ方が違うっていうことがありましたよね。

飛田:はい、神戸の地下は、六甲山から急激に岩盤が地下の深くまで下がっていて、その上に柔らかい堆積層がのっているんですね。
そうすると、神戸市のあるあたりというのは、ちょうど柔らかい層と岩盤が接しているあたりで、そこで波が、複雑に反射をしたりして地震波が、増幅されることがあります。それで、大きな被害が発生して、震災の帯とよばれる地域ができたと言われています。

住田:しかも、やっぱり、川筋は壊れ方が大きいなとか、元ため池だったところだけが崩れたんだとか、いろんな話を聞きましたよね。そこがやっぱり、揺れの特性、振動特性の研究のポイントだったわけですね。阪神淡路大震災の時も、フィールドワークはなさったんですか?

飛田:わたしはまだ4年生でしたので、現地調査には、行っていないんですけれども、同じ研究室の友人が池田市に住んでいたので、彼の家に水を届けに行って、そのついでに自転車を準備していただいたので、西宮の方まで見に行きました。その途中では、やっぱり家が倒れたり、高架橋が倒れたりっていうのを見たりしました。

住田:やはりその時は、この地面の下は?っていう感覚がありましたか?

飛田:それは、多少ありました。やっぱり、その時やっていた研究が、そういう地面の下の不整形な地盤の揺れ方に関係していたので、この下ってどうなっているんだろうっていうのは、多少思いました。



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