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京都大学防災研究所 Presents

;第17回 関口 春子さん(京都大学防災研究所)

「揺らぐ大地に、こころが響く」(2ページ目/4ページ)
【聞き手 住田功一アナウンサー (NHK大阪放送局)】

雷が好きだった

住田:なるほど。そういったいわゆる波形、あるいはそれから計算をするということだけではなく、実際に見てそして考えていく、その力が地形や風景、そして揺れの結果には出てくるということなんですね。
ここからは、その関口さんがなぜ地震学に興味を持たれたのか、その原点、ルーツをたどりまして、将来の展望や夢などについても伺って行こうと思います。
地震学者の関口さんは、幼少のころから、自然というものに心を奪われてきたと伺っているんですけれども、その中でも雷がお好きだったんですって?

関口:好きでした。雷が近づいてくると、窓辺の机の上に登って、ずーっと、なくなるまで見てました。

住田:ふつう、おへそをおさえて、部屋の中に引っ込むんですけれども、窓辺で見ている。これは何かが見えてくるからなんですか?

関口:あんまり何か考えてたわけじゃないんですけど、見て単にすごいなーっと。こう、近くに落ちると、驚いている・・・

住田:すごい音ですもんね?

関口:そうですね。地響きが、近くに落ちるごとに下から揺れる感じもありますし。

住田:高校2年生の時、いま振り返れば、決定的な体験があったということですね。

関口:はい、千葉県佐倉市に住んでいましたが、ちょうど高校生の時に、千葉県東方沖地震が起こったんです。
その時、ちょうど家にいて。実は、この間、ちょうど、当時の日記を見つけたので、見直しました。ベランダにいたようで、特にベランダだとよく揺れたのかもしれないですが、普段あまり真面目に日記を書いていなかったのに、その時は感動や、ちょっと恐怖も感じたことなど沢山書いてありました。
そして、「なんかそのあとにじわじわと快感が・・・ふふふ。」っていう風に書いてましたね。それから、余震のことも書いてあって、そのあとテレビをつけて、NHKのニュースを見たら、アナウンサーの方とかキャスターの方が、こうあわてられている。

住田:ばたばたしてて?

関口:地面はこう、普段はまったく揺れないし、日常生活で地面のこととか自然のことなんか忘れているのに、こんなにあたふたとしているというようなことが日記にかいてありました。

住田:確かに、日常の生活は、私達、どっしりした地盤の上で、いろんな人間の行動とか、商業も工業も全部そうですけども営まれている。その根底の地盤が揺れるってことですもんね、地震は?

関口:そうですね。

住田:もうひとつ、同じく高校時代に、将来を決めるような大きな経験があったと。これは、読書の体験だっていうことなんですが、どんな本だったんですか?

関口:カール・セイガンの「コスモス」という本です。

住田:コスモスっていうのは、お花のコスモスではなくって、宇宙の方のコスモスですね?

関口:これは、最初は学校の英語の教科書に一部が載っていた記憶があるんですが、面白くて、そのあと、その元の本を買って、友達・・・

住田:原語の、英語の本ですか?

関口:英語の本を買って、友達と回して読んだりした記憶があります。

住田:どんなところに、魅力を感じました?

関口:宇宙に対するロマンというか、具体的にどういうことがあって、どういうふうに調べていってみたいなことが書かれていて、引き込まれて。それで、ちょっと宇宙のことを勉強してみたいかなと思いましたね。

住田:そして京都大学理学部に進まれます。そこで宇宙を選ばずに地球?ここで迷われましたか?

関口:私、優柔不断で決められないので、先延ばしにして大学に入りました。大学に入っても、ずっと、悩んでいたんですが、教育実習で高校生に地学を教えた際、いろんな星までの距離の測り方はこういう風にやっていますみたいな内容があって、星の明るさですとか、星の色も使ってたかな。
そういうものを使って、その星までの距離を概算するんですが、誤差が結構大きくて、ちょっとその誤差の大きさに愕然としました。地球の方が近いし、地面の下は距離もしれていますので、自分で実感というか、納得できるかなというふうに思いまして、それで地震にと言うことに・・・



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