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京都大学防災研究所 Presents

;第17回 関口 春子さん(京都大学防災研究所)

「揺らぐ大地に、こころが響く」(4ページ目/4ページ)
【聞き手 住田功一アナウンサー (NHK大阪放送局)】

住田:今、にっこりとほほ微笑まれましたので、そういう方向で、ふつふつと静かな闘志をたぎらしてらっしゃるんだと思います。では、最後に関口さんが思い描く、将来の夢、この研究、先の夢は、どんなことでしょう。

関口:昔の悩みに戻っているようなところもあるんですけれども、最近また、宇宙の話と地球の歴史みたいなものについての興味が再燃しています。
最新の知見を死ぬまでに理解したいなと思うようになりました。地震も地球を扱っていることなので、地球の歴史みたいな話のほうは、当然今の仕事と関係があります。
地震学者はどうしても地震学で重要になるパラメータだけで地球を見てしまいます。
地球の構造を地震波の速度というパラメーターで見ることが多くって、地震波の速度で整理してしまうんですね。

住田:出てきた結果や数値で、まぁこうだろうということになるわけですね。

関口:そうですね。でもそれのもとは、同じ速度でも火山起源の媒質だったり、そうじゃなかったり、いろいろあるわけです。地球についてより多面的に理解しながら地下の構造を考えると、地震学に必要ないろんな複雑な地下の状態を探るうえで手助けになるかなっていう気もしています。
防災の観点からは、私たちが持っている地下構造モデルの精度はまだ十分じゃなくて、たぶん誤差が沢山のっている状況だと思うんですね。

住田:つまり、その土地特有のいろいろな要素をかなり細かくわかってないと、地震が起きたらどんな風に揺れるかっていうのが分析しきれない、結果を出し切れないわけですね。

関口:その通りです。地下構造モデルの精度を上げることによって、もっと複雑な、現実的な震源像が見えてくると思われます。実は、そういうリアリスティックな断層の破壊っていうものを見てみたい、という純粋な興味でもあるのですが。見てみると言っても解析を通してですけれども、そこから出て行く波のダイナミックな広がりも見てみたいなって思います。

住田:なるほどね。ほんとにこの地球をスパッとこう羊羹みたいに切って見てみたいですね、それぞれの場所でね。

関口:そうですね、切れると簡単なんですけれども。

住田:関口さんの、私達の地面の下がどうなっているのかという関心、飽くなき探求、これはまだまだ、続いていくということですね。今日は本当にありがとうございました。

関口:ありがとうございました。



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