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京都大学防災研究所 Presents

第18回 馬場 康之さん(京都大学防災研究所)

「海待ち風待ち、データよし!」(2ページ目/4ページ)
【聞き手 住田功一アナウンサー (NHK大阪放送局)】

遠回りが思わぬ縁に

住田:そうですか。では、ここからは、そんな馬場さんがなぜこうした研究に興味をもたれるようになったのか、そのルーツをたどって、将来の展望や夢などについても伺っていきたいと思います。
海の水の流れ、あるいは海の動き、いろいろなものを観測されている、海の観測がご専門の馬場康之さんでいらっしゃいます。幼いころは、お父さんの影響から大変メカ好きだったというか、機械工作が好きだったとか?

馬場:そういう記憶がありますね。

住田:どんなものを作ってたんですか?

馬場:ラジオを作ったりした記憶はありますね。

住田:ほうほう、いろいろハンダづけをしたりとか?

馬場:ええ、しました。

住田:そのころから、もう理系の道と?

馬場:そうですね、何を思ったのか知りませんけれども、なんか勝手にそういう風に思い込んでたようです。

住田:でも、高校時代の物理はちょっと手こずったという話も聞いておりますが・・・

馬場:はい、その通りです。あんまり言わない方がいいかもしれませんが、赤点をとったりしたこともありまして。

住田:ええー。でもその後京都大学の工学部に進まれて、ここでのめり込んだのが、アメリカンフットボール。京都大学のアメフトっていうのは強豪チームですよね。でも初心者だったそうですね。

馬場:そうです、はい。

住田:それまでは?

馬場:高校時代はラグビーをしていました。

住田:ラジオをお聴きのみなさんにはお伝えしなければなりませんが、体ががちっとしてらしてですね、いかにもラグビー、アメフトっていう感じなんですが、ポジションはどんなところだったんですか?

馬場:最初入った時はラインという一番ぶつかるところです。

住田:どーんと、ぶつかるところ?

馬場:はい。

住田:途中からトレーナーになられたとか?

馬場:いわゆる裏方ですね。

住田:これは、どんなことをするんですか?

馬場:要は、選手のコンディショニングを整えて、いい状態で試合に出てもらうと。あとは、スキルアップをしてもらうとかですね。そういうのを裏から支える役目ですね。

住田:例えば、いろいろチームメイトのデータを集める、観測塔のような?

馬場:うーん、そこまでやってたかどうか、ちょっとわかりませんけども、ふふふ。

住田:そして、スポーツに打ち込まれた後、研究室への配属はどうされたのかと、普通話が進んでいくんですけれども、馬場さんはちょっと遠回りされたと?

馬場:えーっと、まあアメリカンフットボールに力を入れすぎたかなと。というところですね、ふふふ。

住田:研究室への配属は?

馬場:ええ、5年生です。

住田:ということで、このコーナーでは初めてのパターンということなんですが。しかし、そのアメリカンフットボールというのも、この道に入るひとつの重要なきっかけになるんですよね。これはどういう事情だったんですか?

馬場:えっと、私どもの指導教官になる、今本先生というのが、アメリカンフットボールが、非常に好きということもありまして。研究室に誘っていただいたということですね。

住田:この今本先生は、河川工学がご専門ということなんですね。ま、そういった縁から、京都大学防災研究所の実験施設であります宇治川オープンラボラトリーで卒業論文を仕上げるということになるわけですが、この卒論はどんなものだったんですか?

馬場:この時は、河川の橋脚を対象にした研究でして、幅とか本数とかそういう条件を変えるのと、その水の流れですね。河川にある水の流れにどういう影響があるのかというのを調べるのが、卒論のテーマでした。

住田:ほうほう。橋脚ということは、川に突き刺すわけですよね。

馬場:ええ、そうですね。

住田:それを突き刺すと、そこを流れる水が、水流が分かれる、渦を巻く、いろんな現象がそこで起きてくるわけですね。

馬場:端的に言うと邪魔なわけですね。水が流れるという意味から言うと邪魔になるので、邪魔になる程度がどういう程度なのかとか、どういう条件の時が流れやすいのかとか、そういうのを調べるのが卒論のテーマでした。

住田:どういうふうに調べるんですか?

馬場:例えば、その幅ですね。橋脚の幅を同じにしておいて、それが1本なのか2本なのか3本なのか4本なのか、分けた時にどう変わっていくのかというのを調べる実験をやった覚えがあります。

住田:実際に、なにか模型のようなもので?

馬場:ええ、水路の中にそういう橋脚の模型をいれてですね。

住田:そして、そのまま、今度は修士課程にということで、次のテーマは、大阪湾の潮流、潮の流れだった。

馬場:そうですね、はい。

住田:これもやはり実験をされたんですか?

馬場:はい、実験でやりました。

住田:具体的にはどういう実験だったんですか?

馬場:20m四方くらいの大阪湾の模型ですね、実験装置がありまして、そこに実験的に潮汐を起こすんです。潮汐を起こしますと、中の水が動きますので、それでできた潮の流れ、潮流について研究するというのが、修士論文のテーマです。

住田:その20m四方の大きなプールの中には、大阪湾と同じようなこの岸辺を作っていくのですか?

馬場:もう大阪湾の縮尺した模型そのものですね。

住田:大阪湾といいますと、その海岸線には、戦後いっぱい埋立地ができていったわけですよね。

馬場:そういう岸辺ですね。沿岸地域が変わった時に、潮流がどう変わるか、あとは潮の流れにのって、物がどう動くかというのを調べたのが修士論文のテーマでした。

住田:ところが、いろいろな模型を使っての実験を積み重ねて、そのまま研究者の道をまっしぐらということにはならなかったそうですね?

馬場:うーん、そうですね。実は、修士が終わってといいますか、終わるときに就職活動をしてたんですけれども、ものの見事に失敗しましてですね。そのあと、指導教官の先生に相談しましたら、博士課程に行く道もあるよというサジェスチョンをいただいて、それで選択した結果、博士課程の方へということで。



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