■夢
住田:現実を目の当たりにされて、それがまた次の大きな出発点でいらしたと思うんですけれども、そんな米山さんから、今後の夢というのを伺いたいんですけれども。
米山:そうですね、もう結構年になりましたんで。
住田:今おいくつでしたっけ?
米山:はは、47ですけれども。あまり、夢とかないんですけど。
逆に言うと、今がやりたいことがやれてると思っています。それは、このまま続けられたら、それがいい、それが続けられ、続けたいなというのが夢と言えば夢かなぁと思ってます。それは、先ほどからずっと説明しているのでお分かりいただけたかと思いますけれども、ほんとに自分の興味を含めてですね、自分がやったことがこういった形に現れるというようなものが、学問っていうよりは、まあ一種の職人というかですね、極めていけばどんどん良くなるというようなところに、すごく惹かれて、今もやっています。
でも、ただ、それを自分で自己満足しててもしょうがないわけなので、それがなおかつ、世の中に役立つというところ、防災はまさにそういうところなので、そういう防災研というところに身を置きながら、自分のやりたいことをしっかりやって、それが人に役立つというような今の状況っていうのが、続けばいいなという風に思ってます。
住田:いま、研究生活を始めたばかりの方もいらっしゃると思います、あるいは、これから、こういう理科系の研究を始めようと、志を持っている若い人達がいると思うんですが、そういう人たちへの何かメッセージを頂けたらと思うのですが。
米山:そうですね、手を抜かないってことがすごく大事だと思います。こういうものは省いてもいいかな、こういうものが省いてもいいかなっていくと、どんどんどんどん省けてしましてね、際限がきかなくなってしまうんです。
それは人それぞれ特性が違う、私はシミュレーション数値解析っていうのが得意だったんですけど、それは分野分野でやることは違うと思うんですけれども、ここまでやるか、どこまでやるかっていうのは、結構難しい話なんです。
けれども、少なくとも若いうちはですね、とことん思いつく限りのことを細かく丁寧にやるってことが、そのあと実りある研究生活ができるんじゃないかなって思います。一番できる若い時に手を抜いてしまいますとですね、だんだん年取ってくるとできなくなりますんで。
だから、若いときに、馬力があるときに、手を抜かずに、自分が信じるんだったらもう、それをやればいいと思います。もちろんはずれもありますけどね。でもそれくらいじゃないと研究者じゃないので。
住田:これは、大切なメッセージだと思います。今日はいろいろほんとにどうもありがとうございました。
米山:ありがとうございました。
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