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京都大学防災研究所 Presents

第2回 松四 雄騎さん(京都大学 防災研究所 准教授)

「山を診る地滑り学」(3ページ目/6ページ)

【聞き手 住田功一アナウンサー (NHK大阪放送局)】

山を「診る」とは?

住田)その、山を診ますよね。じゃ、こっちの山は割となだらか、こっちは水が流れて削られたり、あるいは崩れたりしている。いろんなことがそこで見えてくるんですか?

松四)そうですね、観察もありますし、わたしの場合は、山の斜面にいろんな機材を運びあげて、そこに設置をして、水が流れ出てくるところを観測したり、あるいは地面の中でどういうふうに水が流れているかというのを観測したり、そういう研究をしていました。

住田)具体的には、どういうもので測るんですか?

松四)たとえばですね、湧水のそばに、あの「堰」といいますけれども、四角い箱をおいて、そこで溢れ出してくる水を量るわけですね。

住田)ははあ。

松四)そうすると、どれくらいの反応が、雨が降った時にあるかということがわかります。その湧水のある場所というのは、地下水面が一部地表に出ている場所なんですけれども、そこからどれくらいの量の水が、あるいは、どういう性質の水が溢れ出てくるかということを調べることで、山のなかの水の状態というのを推し量ることができるわけです。

住田)ははあ。水がどんどん溢れますよね。それはなにか、機械で量っているんですか?

松四)そうですね、ずうっと水位を監視して、それをデータとして記録していくと。

住田)蓄積していくわけですね?

松四)そうです。


わけいっても わけいっても 青い山!

住田)そのデータをもう一度研究室に持って帰るわけですね?

松四)そうですね、何カ月、まあ何週間かそれぐらいのスパンで、メンテナンスに行きまして。

住田)あ、もう一回、出向くんですか?

松四)あの、何度も何度も行きました。

住田)自動的にこう、電波で送られるんじゃないんですか?

松四)今はそういうシステムがありますけれども、わたしの大学院時代は、そういうのをつくるだけのことができなくてですね。房総半島をフィールドにして調査していたんですけれども、大学院のあいだに、70回ほど房総半島に行って、データを集めていましたね。

住田)それでまた、たまったところで、データを取りに行くという?

松四)そうですねえ。

住田)それをお一人でおやりになっているっていうのは、孤独な作業ですね?

松四)そうですね。(笑)それはあの、山頭火の俳句に「わけいっても わけいっても 青い山」という俳句がありますけれども、まさに、その境地を感じるような、そういう心境でしたね。
 山の中ってすごく静かなんですよね。木の揺れる音とか、まあ、獣の鳴き声なんか聴こえますけれども、なんかそのなかにすごい静けさを感じることがありまして。そういう中で、物事を考えたりしていますと、すごく頭が冴えわたって、いろんなアイデアが湧いてくるという、そういう楽しみがありましたね。



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